認知症サポートの道

「認知症と向き合う人々の支え手。認知症の勉強を日々研鑽中。」

認知症ケアに対する【アクティビティ】について

こんにちは。このブログでは、認知症の方に対するアクティビティを解説していきます。認知症の方と一緒に楽しく過ごすためのヒントやアイデアを提供できればと思います。どうぞよろしくお願いします。

1|アクティビティとは:基本的な考えと手法

認知症予防または認知症になってからの進行を緩やかにするためには、アクティビティという活動を訓練の手段として利用するリハビリテーションが効果的です。

アクティビティとは何でしょうか?辞書によると、アクティビティの原義は、活動活発な活動活性など変化のある活発なさまを表します。仕事作業事業などに対して用いられることが多いですね。しかし、介護の分野では、アクティビティという言葉にもう一つの意味があります。

それは、高齢者や障害者などの介護が必要な方々に対して行う、生活機能の維持や向上を目的とした様々な活動のことです。例えば、手芸や料理、運動やゲームなどです。これらの活動は、身体的・精神的・社会的な健康を促進するだけでなく、自己実現や生きがいを感じることにもつながります。

アクティビティは、認知症予防や進行抑制に効果的であることが研究で示されており、認知症患者さんの生活の質を向上させるにも効果的です。認知症予防や進行抑制のためには、アクティビティを積極的に行うことが大切です。アクティビティは、一人でも家族や友人と一緒にでも行うことができます。自分に合ったアクティビティを見つけて、毎日少しずつでも取り組んでみてください。

 

 

 1-1|高齢者の方の活動性を高めるための対応方法

高齢者の方にとって、活動性はとても重要な要素です。活動性が低下すると、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで、介護従事者の方は、高齢者の方の活動性を高めるために、以下のような対応をしてみてください。

  • 高齢者の方が楽しみにしていることを見つける
    • 高齢者の方には、自分の趣味や好きなこと、過去の思い出など、楽しみにしていることがあるはずです。それを見つけるためには、日常的に会話をすることが大切です。会話の中で、高齢者の方が興味を示したり、笑顔になったりすることに注目してみましょう。
  • 楽しみにしていることを中心としたアクティビティを提供する
    • 高齢者の方が楽しみにしていることを知ったら、それを中心としたアクティビティを提供しましょう。例えば、音楽が好きなら、カラオケやラジオ体操など、音楽を取り入れたアクティビティがおすすめです。また、写真や絵画など、過去の思い出を呼び起こすようなアクティビティも効果的です。
  • アクティビティのプログラムを柔軟に変更する
    • 高齢者の方の気分や体調は日によって変わります。そのため、アクティビティのプログラムは固定せずに、柔軟に変更することが必要です。高齢者の方がその日にやりたいことやできることを尊重しましょう。また、認知症の方の場合は、その人の状態や反応に応じて、アクティビティの内容や難易度を調整することも大切です。

 

 1-2|効果的なプログラム振り返り方法とポイント

プログラムの振り返りは、毎回行いましょう。短時間でも構いませんが、次に向けて改善点や工夫点を考えることが大切です。振り返りの際には、以下のような質問を自分に投げかけてみましょう。

質問
利用者さんは楽しそうでしたか?

○○さんは歌を歌ってニコニコしていました。

△△さんは踊りに興味がなさそうでした。

利用者さんとコミュニケーションが取れましたか?

○○さんと△△さんは仲良く話していました。

××さんは話しかけても反応がありませんでした。

プログラムの内容や難易度は適切でしたか?

○○さんはパズルをすぐに完成させました。

△△さんはパズルに苦戦していました。

プログラムの運営に問題はありませんでしたか?

○○さんは音楽の音量が大きすぎると言っていました。

△△さんは椅子が不安定だと言っていました。

 

 1-3|オープンプログラムは一回限りのアクティビティ

オープンプログラムという言葉について解説したいと思います。オープンプログラムとは何でしょうか?

オープンプログラムとは、一般的に以下の特徴を持つプログラムのことです。

  • そのときだけの参加が可能で、事前の予約や登録などが必要ない
  • 誰でも自由に参加できる。年齢や性別、障害の有無などは問わない
  • 音楽鑑賞や映画鑑賞、季節行事などのように、1回で完結する内容である
  • 参加者同士の交流やコミュニケーションが促される

オープンプログラムは、介護施設や地域センターなどで行われることが多く、介護従者や利用者、ボランティアなどが一緒に楽しめる機会となっています。オープンプログラムのメリットは何でしょうか?以下にいくつか挙げてみます。

  • 参加者が自分の興味や好みに合わせて選べる
  • 参加者が新しい人やものに触れることで、刺激や発見がある
  • 参加者が気軽に楽しみながら、心身の健康や社会性を向上させることができる

オープンプログラムは、介護従者にとっても有益なものです。介護従者は、オープンプログラムを通じて以下のような効果を得ることができます。

  • 利用者のニーズや嗜好を把握することができる
  • 利用者との信頼関係やコミュニケーションスキルを高めることができる
  • 自分自身のストレスや疲労を解消することができる

オープンプログラムは、介護の現場で重要な役割を果たしています。初心者の介護従者の方は、ぜひオープンプログラムに積極的に参加してみてください。

 

 1-4|ホスピタリズムについて

認知症の人は、記憶力や判断力などが低下して、以前にできていた日常生活や趣味などが難しくなります。そのため、自分の能力に自信がなくなり、できることにも挑戦しないようになることがあります。これをホスピタリズムといって、病院や施設に入ってから起こる退行や依存の症状の一つです。ホスピタリズムは、認知症の人の自立や活力を奪ってしまうので、予防や改善が必要です。そのためには、スタッフや一緒に活動する人が、認知症の人のできることを見つけてほめたり励ましたりすることが大切です。また、できないことを責めたりせずに、適度なサポートを提供することも必要です。

 

2|日常生活アクティビティ・プログラムを取り入れよう

認知症の人にとって介護老人保健施設などの療養の場は生活の場です。そこで、日常生活で行われていることを取り入れるアクティビティ・プログラムが重要になります。このプログラムには以下のようなメリットがあります。

  • 認知症の人が以前に覚えていたことや経験したことを思い出すきっかけになります。
  • 認知症の人が自分の役割や責任を感じることで、自尊感情や生きがいを高めます。
  • 認知症の人が他の人と協力したり、交流したりすることで、孤立感や不安感を減らします。
  • 認知症の人が身体的にも精神的にも活動的になることで、健康状態や気分を良くします。
  【日常生活で行われていることを取り入れる例】

日常生活で行われていることを取り入れるアクティビティ・プログラムは、認知症の人の個性や好みに合わせて選ぶことが大切です。以下に、一般的な例をいくつか挙げます。

  • 調理認知症の人が好きな料理や昔作っていた料理を一緒に作ります。食材や道具、レシピなどを見せたり、匂いや味を感じさせたりすることで記憶や感覚を刺激します。
  • 洗濯物をたたむ認知症の人が洗濯物をたたむ手順や方法を思い出させます。洗濯物の色や柄、素材などを見たり触ったりすることで感覚を刺激します。
  • 花の世話認知症の人が好きな花や植物を選んで一緒に世話します。水やりや剪定などの作業を手伝わせたり、花や葉の色や形、香りなどを見たり嗅いだりすることで感覚を刺激します。

認知症の人の介護をするときには、日常生活で行われていることを取り入れるアクティビティ・プログラムが効果的です。認知症の人の心身の機能を維持したり、向上させたりするだけでなく、自分の役割や生きがいを感じさせたり、他の人との交流を促したりすることができます。認知症の人の個性や好みに合わせて、楽しく安全にアクティビティ・プログラムを行ってみましょう。

 

3|運動を用いたアクティビィを解説

高齢者は、筋力やバランスの低下により、転倒のリスクが高くなります。転倒は、骨折や頭部外傷などの重篤な健康問題につながる可能性があります。そのため、高齢者は、からだを動かすことが重要です。

からだを動かす方法として、四つん這いで行うバランス訓練や壁などを利用しての片足起立訓練がおすすめです。これらの訓練は、比較的安全にバランス感覚を鍛えることができます。また、全身の筋力強化とともに四肢協調運動の訓練効果も期待できます。さらに、遊脚期における上体の安定性も向上させることができます。

 

 3-1|運動療法の進め方

認知機能が低下している人とは、認知症の症状がある人や、物忘れが多くなった人などを指します。このような人にとって、運動療法プログラムは、その目的が理解しにくく、動作をくり返し行うことが困難な場合があります。しかし、運動療法プログラムには、認知機能の向上や予防、身体機能の強化や維持、心のリフレッシュや自信の回復など、さまざまな効果が期待できます。

では、どのようにして運動療法プログラムを実践すればよいのでしょうか?ここでは、以下のポイントをご紹介します。

 

 3-2|運動療法プログラムの種類と内容

運動療法プログラムには、さまざまな種類があります。一般的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 関節可動域訓練:関節の動きを改善し、関節拘縮を予防する
  • 筋力増強訓練:筋力を増強し、日常生活動作を支える
  • ストレッチ:筋肉を伸ばし、柔軟性や粘弾性を高める
  • 持久性・耐久性を促す運動:心肺機能や筋持久力を高める
  • 協調性を促す運動:力加減や方向、四肢・体幹の連動などの調整力を高める
  • 基本動作練習:寝返り、起き上がり、座る、立つ、移乗する、歩行などの基本的な動作を練習する
  • 有酸素運動:ウォーキング、水泳、ラジオ体操など

これらの運動は、対象者の身体を他動的に動かすものと、対象者自身が自ら動く自動的なものとがあります。また、認知症に特化した運動療法プログラムとして、「コグニサイズ」 や「音楽体操」などがあります。これらは、「マルチタスク」や「デュアルタスク」と呼ばれる方法で行われます。マルチタスクとは、2つ以上のことを同時に行うことです。デュアルタスクとは、頭で考えることと身体を動かすことを同時に行うことです。これらは、脳の活性化や認知機能の改善に効果的です。

では簡単な運動のアクティビティを紹介いたしましょう。

  四つん這いバランス訓練

四つん這いで行うバランス訓練は、以下のように行います。

  •  左右に手を交互に動かす
  •  左右に足を交互に動かす
  •  腕と脚を同時に動かす

 

  片足起立訓練

壁などを利用しての片足起立訓練は、以下のように行います。

  • 壁に手をついて片足で立つ
  •  壁から少し離れて片足で立つ
  •  片足で立ったまま足を動かす

バランス訓練は、毎日少しずつ行うことが大切です。無理のない範囲で、自分のペースで行うようにしましょう。

 

  ウォーキング

運動療法は、高齢者の健康や認知機能の維持にとても効果的な方法です。しかし、どのような運動をどれくらいの頻度や強度で行うべきか、わからない方も多いのではないでしょうか。そこで運動療法の中でも一番手近で簡単に始められるウォーキングについて、詳しくご紹介します。

ウォーキングのメリット ウォーキングは、以下のようなメリットがあります。

  • 心肺機能や血液循環を改善し、心臓や血管の病気を予防します。
  • 筋力や柔軟性を高め、関節や骨の健康を保ちます。
  • 体重や血圧、血糖値などをコントロールし、生活習慣病を予防します。
  • ストレスや不安を軽減し、気分や睡眠の質を向上させます。
  • 脳の活性化や記憶力の向上にも効果があります。

ウォーキングの方法 ウォーキングを始める前には、以下の点に注意してください。

  • 運動に適した服装や靴を着用しましょう。特に靴は足に合ったものを選び、靴ずれや転倒などのトラブルを防ぎましょう。
  • 気温や湿度に応じて水分補給をしましょう。暑い日や乾燥した日は特にこまめに水分補給を心がけましょう。
  • 体調や天候によってはウォーキングを控えることもあります。発熱や風邪などの症状がある場合や、雨や雪などの悪天候の場合は無理せず休みましょう。

ウォーキングの目安は、1日に7000~8000歩30分間を「ややきつい」と感じられる程度の速さで歩くことです。この速さは個人差がありますが、一般的には時速4~5キロメートルくらいです。歩数計スマートフォンなどで自分の歩数や速度を測ると便利です。

ウォーキングの頻度は、週5回程度を目標にしましょう。毎日行う必要はありませんが、できるだけ定期的に行うことが大切です。最初は少ない歩数や時間から始めてもかまいません。徐々に増やしていくことで、体力や持久力が向上します。

ウォーキングは、近所の公園や商店街などで気軽に行える運動です。一人で行っても楽しいですが、友人や家族と一緒に行うと、会話も弾んで楽しさも倍増します。また、景色や季節を楽しみながら歩くと、気分転換にもなります。

ウォーキングは、高齢者にとって最適な運動療法の一つです。ぜひ、日常生活に取り入れてみてください。健康と幸せのために、一歩ずつ歩きましょう。

  筋力強化訓練

高齢者の方の介護をするときには、筋力強化訓練がとても大切です。筋力が低下すると、日常生活で困ることが増えてしまいます。例えば、立ち上がったり、歩いたり、階段を上ったりすることが難しくなります。そうならないためには、筋力を維持することが必要です。

筋力強化訓練にはいろいろな方法がありますが、今回はその中から3つを紹介します。それぞれの方法について、やり方と注意点を説明します。

  • 足踏み運動
    • やり方:椅子に座った状態で、片足をゆっくりと上げて下ろします。その後、反対の足も同じようにします。これを交互に繰り返します。
    • 注意点:足を上げるときは、膝を曲げずに伸ばします。また、できるだけ高く上げるように意識します。足を下ろすときは、床につけずに浮かせたままにします。
  • 大腿四頭筋の等尺性収縮訓練
    • やり方:椅子に座った状態で、片足を伸ばして前方に持ち上げます。そのままの姿勢で5秒間キープします。その後、ゆっくりと元の位置に戻します。反対の足も同じようにします。
    • 注意点:足を持ち上げるときは、膝を曲げずに伸ばします。また、背筋を伸ばして背もたれに寄りかからないようにします。
  • 体幹筋力訓練(おしり上げ)
    • やり方:ベッドやマットの上で仰向けに寝ます。両足を曲げて床につけます。その後、おしりを持ち上げて背中と太ももが一直線になるようにします。そのままの姿勢で5秒間キープします。その後、ゆっくりと元の位置に戻します。
    • 注意点:おしりを持ち上げるときは、腹筋やおしりの筋肉を使って行います。また、首や肩はリラックスさせて力を入れないようにします。

以上が今回紹介した3つの筋力強化訓練です。これらの訓練は1日10分程度行えば十分です。また、無理をしないことが大切です。痛みや違和感を感じたらすぐにやめてください。

 3-3|運動療法プログラムの実施方法と注意点

運動療法プログラムを実施する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 対象者の状態や目的に合わせて、適切な運動を選択する
  • 運動の強度や時間、頻度、期間を調整する
  • 運動前後に水分補給や休憩をとる
  • 運動中に体調や反応を観察し、異常があれば中止する
  • 運動の効果や成果を評価し、フィードバックする
  • 運動の楽しさや意義を伝える
  • 音楽やゲームなどを取り入れて、モチベーションを高める
  • 介護者や家族も一緒に参加して、コミュニケーションをとる

高齢者の方にとって、運動は健康や生活の質を向上させるためにとても重要です。しかし、運動のやり方や量には注意が必要です。なぜなら、過剰な運動は逆効果となり、身体に負担をかけたり、怪我をしたりする可能性があるからです。高齢者の方に適した運動のポイントとは何でしょうか。以下のようなことに気を付けると良いでしょう。

  • 無理せずに行える範囲で実施する:運動は身体に負担をかけるものです。自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない量や強度で行いましょう。運動中や運動後に息切れや動悸、めまい、吐き気などの異常があれば、すぐに休んだり医師に相談したりしましょう。
  • 気持ちよく行うことを習慣化していく:運動は楽しくなければ続きません。自分が好きな運動や場所、時間帯、音楽などを選んで、気分良く行いましょう。また、定期的に行うことで効果が高まります。毎日決まった時間に行うなど、自分の生活リズムに合わせて習慣化していきましょう。
  • 介護従者と一緒に行う:高齢者の方は一人で運動するのが不安だったり、つまらなかったりすることがあります。そんなときは、介護従者の方と一緒に運動すると良いでしょう。介護従者の方は、高齢者の方の様子を見ながら声かけや手助けをしてあげたり、一緒に笑ったり話したりして楽しく運動することができます。また、介護従者の方も自分の健康管理に役立ちます。

以上が、高齢者の方に適した運動の方法やポイントについてのご紹介でした。高齢者の方は、運動を通して健康や生活の質を向上させることができます。しかし、過剰な運動は逆効果となることもあります。無理せずに行える範囲で実施することも必要ですが、気持ちよく行うことを習慣化していくことも大切です。

 

 3-4|運動療法プログラムが受けられる施設や教材

運動療法プログラムは、理学療法士作業療法士がいる病院や施設で受けることができます。また、自治体や公的機関で開催されている認知症予防教室などに参加することもできます。近年は、スポーツクラブでの運動療法講座も増えてきています。さらに、自宅で行える運動療法プログラムの教材もあります。例えば、「コグニサイズ」は、DVDや冊子で指導されています。「音楽体操」は、CDや楽譜で提供されています。

 

4|音楽プログラム

 

 

 4-1|音楽プログラムの進め方:グループ化と個別化

音楽プログラムは認知症ケアにおいて有効な手段の一つですが、その実施方法によっても異なる効果が得られます。

 

グループ化

一般的に音楽を使った介護の取り組みは、グループで行われることが多いです。グループで音楽を楽しむことには、以下のような利点があります。

  • 共有体験による喜びや達成感
  • 社会性の向上や孤立感の解消
  • コミュニケーション能力や表現力の向上
  • 認知機能や身体機能の維持や改善

グループで音楽プログラムを行うと、参加者は音楽を通して他者とのコミュニケーションや協調を促進し、自己表現や自己肯定感を高めることができます。また、音楽に合わせて歌ったり踊ったりすることで、身体的な活動や認知的な刺激も得られます。グループで音楽プログラムを行う場合のメリットは、音楽を共有することで生まれる楽しさや達成感、社会的なつながりや支え合いなどです。

 

少人数や個人で実施

個別的な方法とは、音楽を使って一人ひとりのニーズや好みに合わせて介護を行う方法です。個別的な方法で音楽を使った取り組みを行う場合には、以下のような効果が期待できます。

  • 参加者の自己表現や自主性が発揮されやすい:自分の好きな音楽や活動を選ぶことで、自分の気持ちや考えを表現する機会が増えます。また、自分で決めたことに責任を持って取り組むことで、自主性や自信が育ちます。
  • 満足感や達成感が得られやすい:自分の好きな音楽や活動に参加することで、楽しさや喜びを感じます。また、自分で作った曲や歌詞を披露したり、他人から褒められたりすることで、満足感や達成感を味わいます。
  • 関係性が深まる:同じグループや個人と音楽を通してコミュニケーションをとることで、相互理解や信頼が深まります。また、他人の意見や感情に配慮したり、協力したりすることで、社会性や協調性が高まります。

個別的な方法で音楽を使った取り組みを行う場合には、以下のような注意点もあります。

  • 参加者の状態や反応に注意する:音楽は心に影響するものですから、参加者の状態や反応によっては、音楽が不快に感じられたり、過度に興奮したり、過去の辛い記憶が蘇ったりすることがあります。そのような場合には、音楽を変えたり、音量を調整したり、活動を中止したりする必要があります。
  • 参加者のニーズや好みに合わせる:音楽の好みは人それぞれですから、参加者のニーズや好みに合わせて音楽や活動を選ぶことが大切です。また、参加者の年代や性別、文化や宗教などにも配慮することが必要です。
  • 専門家と連携する:音楽を使った取り組みは、介護従者だけで行うこともできますが、より効果的に行うためには、専門家と連携することが望ましいです。例えば、音楽療法士や音楽教育者などの専門家に相談したり、指導を受けたりすることで、音楽の選び方や活動の進め方などについて学ぶことができます。

 

 4-2|音楽プログラムの効果

脳への効果

音楽は、脳の機能を高める効果があります。音楽に関わる活動は、左脳と右脳の両方を刺激します。左脳は、言語や数学、理論的な思考などを司ります。右脳は、創造性や直感、感情などを司ります。音楽を聴くときには、左脳は歌の言葉やリズムを分析し、右脳は歌のメロディーや感情を理解します。音楽を歌うときには、左脳は拍子を感じ、手や指を使って楽器を演奏し、右脳は自分の気持ちに合わせて歌を楽しみます。このように、音楽は左脳と右脳のバランスを整え、認知症の予防や改善にも効果があるとされています。

音楽が脳に与える効果は他にもあります。例えば、音楽は脳の血流を増加させて酸素や栄養素を運び、記憶力や学習力を向上させます。また、音楽は集中力や創造性を高めて問題解決能力を鍛えます。

 

精神への効果

音楽療法には、さまざまな精神的な効果が期待できます。

  • 精神的な安定:音楽はストレスや不安を和らげる効果があります。特に、自分の好きな音楽や思い出のある音楽を聴くと、心が落ち着きます。また、音楽に合わせて歌ったり、体を動かしたりすることで、気分転換や自己表現の機会にもなります。
  • 抑うつ傾向の改善:音楽は脳内のドーパミンセロトニンなどの神経伝達物質の分泌を促進する効果があります。これらの物質は、快感や幸福感を感じさせる役割を持っています。そのため、音楽療法抑うつ傾向にある人にも有効です。

 

音楽が呼び起こす思い出とカタルシス

音楽は、人の記憶や感情に深く関わるものです。音楽を聴くと、その曲にまつわる出来事や体験が思い出されます。その中には、幸せな思い出や楽しかった思い出もあります。これらの思い出は、人の気分を高めたり、リラックスさせたりする効果があります。音楽によって、人は自分の感情を安定させることができます。

一方、音楽を聴くと、辛かった思い出や悲しかった思い出も思い出されることがあります。しかし、それらの思い出は、人の成長や学びにつながるものです。音楽は、人に自分の感情を表現したり、解放したりする効果があります。音楽を聴くことで、自分の人生を振り返る機会を与えます。音楽は、人に自分の人生に対するカタルシスを与えます。

 

リズム楽器を使った身体面への効果

リズム楽器とは、タンバリン、カスタネット、マラカス、タンバリンやギロなど、手で叩いたり振ったりして音を出す楽器のことです。音楽療法の一種として、高齢者や認知症の方にも効果的な介護のツールとなります。では、具体的にどんな利点があるのでしょうか?

まず、手から脳への刺激です。リズム楽器を使うと、手の感覚や運動神経が刺激されます。これにより、脳の活性化や記憶力の向上が期待できます。また、音楽に合わせてリズムを取ることで、集中力や協調性も高まります。

次に、腰から上半身の強化です。リズム楽器を使うと、腰や背中、肩、腕などの筋肉が動かされます。これにより、筋力や柔軟性が向上し、姿勢やバランス感覚も改善されます。また、関節の可動域も広がり、関節痛やこわばりを予防することもできます。

さらに、足を使って下半身の衰えを防ぐこともできます。リズム楽器だけでなく、足踏みやステップなどの動作を加えることで、足や膝、足首などの筋肉や関節も動かすことができます。これにより、下半身の筋力や柔軟性が向上し、歩行能力や立ち上がり能力も改善されます。

以上のように、リズム楽器を使った介護は、手から足まで全身の機能を高める効果があります。また、音楽を聴くことで心も癒される効果もあります。音楽は言葉に頼らないコミュニケーションの手段でもあります。介護される方と一緒に楽しく音楽を奏でることで、笑顔や会話が増えることも期待できます。

リズム楽器を使った介護は難しくありません。市販の楽器を使ってもいいですし、空き缶やビンなど身近なものでも代用できます。大切なことは、介護される方のペースに合わせて無理なく行うことです。ぜひ一度試してみてください。

 

 4-3|音楽プログラムに効果的な曲の選曲方法と例を紹介

音楽プログラムを行うときには、参加する認知症の人にとってなじみのある曲を選ぶことが大切です。なじみのある曲とは、以下のような基準で選ぶことができます。

  • 年代:認知症の人が10代~20代だった頃に流行っていた曲
  • 季節:その時期にふさわしい曲
  • イベント:誕生日や結婚記念日など特別な日に関連する曲
  • 好み:認知症の人が好きだったジャンルやアーティストの曲

 

年代に合わせたヒット曲

音楽プログラムを進めるコツは、参加者が知っている曲やその時代の雰囲気を感じられる曲を選び、一緒に歌ったり話したりすることです。例えば、昭和歌謡をテーマにするなら、

「君といつまでも」上を向いて歩こうなどのヒット曲を歌いながら、当時の社会や文化について語り合うといいでしょう。また、曲にかかわる話題からさらに次の曲を引き出すことも大切なポイントです。定期的にプログラムを続ける場合は、前回の内容を振り返って、記憶や感情を呼び戻すことが大切です。

 

季節に合わせた選曲

例えば、9月~10月の秋を代表する曲として、「湖畔の宿」「赤とんぼ」「十三夜」などが挙げられます。これらの曲は、昭和20年代~30年代に流行した歌謡曲で、多くの人に親しまれています。秋らしい風景や情感を歌った歌詞も印象的です。認知症の人に聴かせると、昔の思い出が蘇ったり、季節感を感じたりすることができるでしょう。

音楽プログラムは、認知症の人にとって有効な介護方法です。しかし、ただ音楽をかけるだけではなく、適切な選曲や声かけ、反応の観察などが必要です。初心者介護従者の方は、ぜひ参考にしてみてください。それでは、今日はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

 

 

5|園芸活動

 5-1|園芸活動の種類

園芸活動とは、どんなものでしょうか?一般的には、以下のような3つの種類に分けられます。

  • 受動的な活動:花や植物を見たり、香りを嗅いだり、触ったりすることで、自然の美しさや癒しを感じる活動です。例えば、花壇や庭園を散策したり、花瓶に生け花を飾ったりすることが挙げられます。
  • 能動的な活動:花や植物を育てたり、手入れしたりすることで、自然との関わりや達成感を得る活動です。例えば、種をまいたり、水やりや剪定をしたり、収穫したりすることが挙げられます。
  • 創造的な活動:花や植物を素材にして、オリジナルの作品を作ることで、自己表現や創造力を発揮する活動です。例えば、ドライフラワープリザーブドフラワーを使ってアレンジメントを作ったり、植物染めやハーバリウムを作ったりすることが挙げられます。

園芸活動は、これらの3つの種類を組み合わせて行うこともできます。例えば、自分で育てた花を使って生け花を作ったり、収穫した野菜や果物を料理にしたりすることも可能です。このようにして、園芸活動は多様な楽しみ方ができるのです。

 

 5-2|重度認知症の人の参加の注意点

園芸活動は、認知症の方の症状の程度に関係なく、参加することができます。しかし、重度の認知症の方と活動する場合は、注意点があります。それは、以下のようなことです。

  • 重度の認知症の方は、言葉や行動がわかりにくくなったり、不安や怒りなどの感情が強く出たりすることがあります。そのため、介護者は常に優しく声かけをしたり、表情や態度で安心感を与えたりする必要があります。
  • 重度の認知症の方は、自分の興味や関心に応じて活動したいと思うことがあります。その場合は、介護者は柔軟にプログラムを変更したり、個別に対応したりする必要があります。例えば、植物に触れたり匂いを嗅いだりするだけでも良いですし、他の植物や場所に移動したいと言ったら付き添ってあげることも大切です。

園芸活動は、認知症の方にも楽しく有意義な時間を提供することができる素晴らしい活動です。介護者は、認知症の方のニーズや特性に合わせて工夫しながら、一緒に園芸活動を楽しんでみましょう。それではまた次回お会いしましょう。ありがとうございました。

 

 5-2|園芸活動による効果

園芸活動では、植物を育てる、愛でる、収穫する、調理や加工をする、植物を使って何をつくるなど、すべての場面で身体的・精神的な働きが必要とされます。屋外に出ることで感じる受動的な五感の刺激とともに、それらが相乗効果をもたらすと考えられています。認知症の人に園芸活動をする効果は、以下のようなものがあります。

 

周辺症状の軽減

認知症の人は、不眠や昼夜逆転、徘徊などの周辺症状に悩まされることが多いです。しかし、園芸活動をすることで、自然な光や空気に触れたり、適度な運動をしたりすることができます。これによって、睡眠の質が向上したり、生活リズムが整ったりすることが期待できます。

コミュニケーション能力の向上

認知症の人は、言葉や表情をうまく使えなくなったり、人と話すことに興味を失ったりすることがあります。しかし、園芸活動をすることで、植物や花に対して感情や思い出を語ったり、他の人と意見交換したりする機会が増えます。これによって、コミュニケーション能力が保たれたり、社会性が高まったりすることが期待できます。

情緒の安定

認知症の人は、イライラや落ち込みなどの情緒不安定に陥ることがあります。しかし、園芸活動をすることで、植物や花の美しさや香りに癒されたり、成長や開花を喜んだりすることができます。これによって、気分が明るくなったり、自信や達成感が得られたりすることが期待できます。

記憶力の維持

認知症の人は、記憶力が低下してしまうことで、自分の名前や家族の顔などを忘れてしまうことがあります。しかし、園芸活動をすることで、植物や花の名前や特徴を覚えたり、過去に関連する記憶を呼び起こしたりすることができます。これによって、記憶力が維持されたり、認知機能が刺激されたりすることが期待できます。

身体的な健康

植物を育てるときには、土を掘ったり、水やりをしたり、草を抜いたりといった運動が必要です。これらの運動は、筋力や柔軟性を高めるだけでなく、血圧や血糖値を下げる効果もあります。また、植物を収穫したり、料理や工芸に使ったりすることで、手先の器用さや協調性も鍛えられます。さらに、屋外で日光を浴びることで、ビタミンDの生成が促されます。ビタミンDは、骨や歯の健康に欠かせない栄養素です。

 

以上のように、園芸活動は認知症の人に多くの効果をもたらす可能性があります。もちろん、個人差はありますし、効果が確実にあるという科学的な根拠はまだ十分ではありません。しかし、認知症の人にとって、楽しくて有意義な時間を過ごすことは、何よりも大切なことだと思います。介護する側も、園芸活動を通して、認知症の人の気持ちや感性に触れることができるかもしれません。

 

 5-3|園芸活動における時間配分

園芸活動の効果を最大限に引き出すためには、適切な頻度で行うことが重要です。一般的には、長時間の園芸活動は認知症の方にとって負担になりやすく、疲労やストレスを引き起こす可能性があります。そのため、短時間(15分から30分程度)で、回数を多く(週に2回から3回程度)行うことが理想的です。このようにすることで、園芸活動の楽しさや達成感を持続させることができます。また、回数を多くすることで、植物の成長や季節の変化に気づきやすくなり、見当識障害の予防や改善にもつながります。

 

 5-4|園芸活動の記録と評価方法や頻度

園芸活動の記録

園芸活動は認知症ケアにおいて重要な役割を果たしています。活動が終わった後には、スタッフは利用者の様子や反応を記録することが必要です。記録の方法は以下の通りです。

  • 活動中に利用者がどのような表情や態度を見せたか、どのような行動をとったかを観察し、その内容をメモしておきます。例えば、笑顔や楽しそうな声、積極的に参加したり協力したりするなどのポジティブな反応や、不安や怒り、拒否や無関心などのネガティブな反応があった場合には、その原因や状況を記録します。
  • 活動中に利用者と会話をした場合や、利用者が発言した場合には、その内容を要約して記録します。会話や発言は利用者の思いや感情、記憶や知識などを表す重要な手がかりになるので、できるだけ正確に記録するようにします。
  • 活動前と活動後に利用者の状態に変化があった場合には、その内容と程度を記録します。例えば、活動前は眠そうだったが活動後は目が輝いていた、活動前は無口だったが活動後は話し始めた、活動前は落ち着きがなかったが活動後はリラックスしたなどの変化があれば、それらを記入します。

 

活動の評価

次に、評価は3か月に1度くらいのペースで行います。評価する項目は以下の通りです。

  • 利用者ごとの園芸活動への参加度・関心度・満足度
  • 利用者ごとの園芸活動による心身の変化や効果
  • 園芸プログラム全体の内容・目的・適切性
  • スタッフごとの園芸活動への関与度・責任感・能力
  • スタッフ間の情報共有や連携の状況
  • 園芸活動に関する課題や改善点

評価は記録をもとにして行います。また、利用者やスタッフからもフィードバックを受けて、客観的な視点から評価します。

評価した結果は、次回以降の園芸プログラムや援助方法の見直しに役立てます。また、スタッフ同士で評価内容を共有し、反省や学習を深めます。

 

記録・評価を行うことで、スタッフは利用者の園芸活動への関心や適性、効果や課題などを把握することができます。また、記録・評価の結果をもとにして、次回の園芸活動の計画や改善策を考えることもできます。園芸活動の記録・評価は認知症ケアの質を高めるために欠かせない作業です。

 

 5-5|園芸の歴史

園芸療法は、第二次世界大戦後にアメリカや北欧から始まりましたが、日本では1990年代から注目されるようになりました。現在では、高齢者や障害者、精神疾患などさまざまな対象者に対して、医療・福祉・教育などの現場で行われています。

では、園芸療法の歴史についてもう少し詳しく見てみましょう。園芸療法は、18~20世紀半ばまで、アメリカやイギリスなどの主に精神障害者施設などで行われていました。当初は自給自足や患者の目標という目的で行われていたのですが、治療的な効果が認められたことで、やがて療法として用いられるようになりました。例えば、以下のような効果が報告されています。

  • 植物を育てることで自尊心や充実感が生まれる
  • 植物の成長を楽しみ、未来へ対する期待が持てる
  • 植物を育てることで不安やうつ症状を和らげることができる
  • 植物を育てることで他者とのコミュニケーションが増える

これらの効果は、現在でも園芸療法の目的として重要なものです。園芸療法は、植物を育てる体験を通して心身の機能を改善し、リハビリテーションや治療、福祉、教育に役立てていくことを目指しています。

園芸療法は、家庭での園芸とは違って、専門的な知識や技術を持った「園芸療法士」という人が関わっています。園芸療法士は、対象者のニーズや目標に合わせてプログラムを作成し、適切な植物や道具を選んだり、活動をサポートしたりします。また、活動の前後に評価を行って効果を測ったり、記録したりします。

日本では2008年に日本園芸療法学会が作られました。この学会では、「登録園芸療法士」という資格制度があります。登録園芸療法士になるには、一定のカリキュラムを修了し、試験に合格する必要があります。登録園芸療法士は、医師や看護師、介護士などと協力して、園芸療法を実施しています。

園芸療法は、介護従事者の皆さんにとっても有用なものです。園芸療法に参加することで、介護される方は心身の健康を向上させることができますし、介護する方も植物の癒やしを感じることができます。また、園芸療法は、介護者と介護される方の関係性を深めることにも寄与します。一緒に植物を育てることで、共通の話題や楽しみが生まれますし、お互いの気持ちや思いを分かち合うことができます。

園芸療法に興味のある方は、ぜひ以下のサイトを参考にしてみてください。園芸療法の詳しい内容や事例、資格取得の方法などが紹介されています。

以上、園芸療法について紹介しました。植物と触れ合うことで心身の健康を保つことができる園芸療法は、介護の現場で活用できる素晴らしい方法です。ぜひ一度試してみてくださいね。それでは、またお会いしましょう。

 

 5-6|認知症の方と楽しむ【レイズドベッド園芸】足腰に優しい立ち上がり式花壇

認知症の方と一緒に楽しめる園芸活動の一つとして、レイズドベッドについてお話したいと思います。

レイズドベッドとは、立ち上がり式花壇のことで、地面よりも高く土を盛り上げて作る花壇です。レイズドベッドには、以下のようなメリットがあります。

  • 足腰の弱い人や車椅子の人でも、しゃがむ必要がなく、楽な姿勢で園芸活動ができます。
  • 土の排水や通気が良くなり、植物の根腐れや病気を防ぐことができます。
  • 土の温度が高くなり、早く発芽したり成長したりすることができます。
  • 土の表面積が広くなり、多くの種類や量の植物を育てることができます。
  • 土留めに木材やレンガなどを使うことで、見た目にもオシャレになります。

レイズドベッドは、自分で作ることもできますし、市販のキットやパーツを使って簡単に組み立てることもできます。家庭でも使用しやすい、コンパクトで安価なレイズドベッドもあります。例えば、以下のような商品があります。

  • 菜園ランド:升を連結させることができる製品で、広い面積への設置や2段重ねの設置も可能です。
  • レイズドベッドパネル:パネルを組み立てる方式のレイズドベッドで、組み立て方で多彩な形状にできます。
  • UDプランター<コンパクトタイプ>:設置場所を選ばないコンパクトに作られた一人用のレイズドベッドです。屋外にも設置可能です。

レイズドベッドに植える植物は、野菜だけでなく花やハーブなども楽しめます。ただし、植物同士の相性や株間を考えて配置しましょう。また、輪作やマルチングなども行って土壌の状態を良く保ちましょう。

レイズドベッドは、認知症の方にも楽しく有意義な時間を提供することができる素晴らしい園芸活動です。介護者は、認知症の方のニーズや特性に合わせて工夫しながら、一緒にレイズドベッドを楽しんでみましょう。

6|介護美容の利用

認知症の人への化粧は、単に見た目を整えるだけではありません。化粧は認知症の人にとって、自分の存在やアイデンティティを確認する手段となります。化粧をすることで、自分に自信や満足感を持ち、周囲の人とのコミュニケーションもスムーズになります。また、化粧は適度な緊張感や刺激を与え、気分を快適な方向に導く効果もあります。

 6-1|化粧がもたらす認知症ケアの効果

認知症の人は自己や周囲への関心を失うことがありますが、化粧は驚くべき効果があることが研究から分かっています。
化粧を通じて以下の効果が得られます。

 

1. 落ち着きと自発的行動の増加: 化粧により、認知症の人の不安やイライラが軽減され、積極的な活動とコミュニケーションが増えます。

2. 気分の活性化: 化粧によって自信と満足感が得られ、声の高さや話す時間、笑顔が増加し、表情が豊かになります。

3. 身体接触と鏡を見る時間の増加: 化粧により、認知症の人は自分の身体や顔を楽しみ、介護者との接触が増えます。

4. 五感を刺激する:多種類の色味を用意することで、認知症の人の五感を刺激する効果が期待できます。色彩は感情や記憶に影響を与えると言われています。例えば、赤色は活力や情熱を、青色は安らぎや信頼を、黄色は明るさや楽しさを表します。化粧品の色やパッケージの色を選ぶ際には、認知症の人の好みや気分に合わせて、色彩の効果を利用しましょう。

5. 脳を刺激する:よい香りを嗅ぐことで、嗅覚の刺激も脳へのよい刺激となります。香りは記憶や感情に強く関係しています。例えば、花の香りは癒しや幸せを、柑橘系の香りは爽やかさや元気を、ハーブの香りはリラックスや安心を与えます。化粧品の香りやアロマオイルなどを使う際には、認知症の人の好みや気分に合わせて、香りの効果を利用しましょう。

6. 触覚を刺激する:施術者に触れられることで、触覚の刺激も脳へのよい刺激となります。触れることはコミュニケーションや信頼関係の形成に重要です。例えば、手や顔に優しく触れることは安心感や愛情を、頭皮や肩にマッサージすることは緊張やストレスを和らげます。化粧プログラムでは、認知症の人の肌質や体調に合わせて、適度な力加減で触れることが大切です。

 

これらの効果から、化粧は認知症の人に素晴らしいメリットをもたらすと言えます。個人の好みや感情を尊重しつつ、相手の気持ちに寄り添って行うことが重要です。
また、化粧は介護者にも利益があります。介護者は認知症の人の個性や感情を理解し、コミュニケーションを深める手段として化粧を活用できます。さらに、化粧は介護者自身の気分転換やリフレッシュにも役立ちます。
認知症の人は自己認識や関心を失うことがありますが、化粧を通じて自分らしさを取り戻す可能性があります。化粧による「癒し」と「励み」は、互いに関連し、心の状態を向上させる効果をもたらします。積極的な感情と心身の活性化が、化粧を通じて得られる効果です。
化粧は自己肯定感や自尊感情に影響を与え、幸福感や活力を提供します。ただし、他人の評価に左右されることもあり、ポジティブな感情の維持には工夫が必要です。
まとめると、認知症の人への化粧は、心と身体の活性化を促す効果的なケア方法と言えます。個人の尊重とサポートを通じて、化粧を通じたポジティブな感情と自己肯定感を大切にしていきましょう。

 

 6-2|化粧プログラムを実施する時のポイント

写真を撮る

化粧前後の写真を記録として残すことが大切です。写真は本人の同意を得た上で、安全な場所に保管しましょう。写真は本人に見せて、化粧の効果を確認させることで、心理的な満足感や自信を与えることができます。また、社会的な効果として、家族や友人とのコミュニケーションのきっかけにもなります。

 

多種類の色味を用意する

前述したとおり、多彩な色味を用意することで、利用者への刺激になりますので、できるだけ多くの色味を用意しましょう。

 6-2|現代と古代エジプトの化粧の違いとは?

化粧というと、女性のものというイメージが強いかもしれませんが、実は男性も昔から化粧をしてきました。化粧の歴史は古く、約6000年前の古代エジプト時代から始まったと言われています。

では、現代の化粧と古代エジプトの化粧はどう違うのでしょうか?それぞれの化粧の意味や目的を見てみましょう。

 

現代の化粧の意味

現代の化粧の意味は、「変身する」「粧う」ということです。化粧をすることで、自分の顔や雰囲気を変えたり、自分らしさや個性を表現したりすることができます。また、化粧をすることで、自信や気分を高めたり、相手に好印象を与えたりすることもできます。

現代の化粧は、様々な種類や色や質感があります。例えば、ファンデーションやコンシーラーで肌を均一にしたり、チークやハイライトで立体感を出したり、アイシャドウやアイライナーで目元を強調したり、リップやグロスで唇を魅力的にしたりします。また、メイクアップアーティストや美容家などの専門家が提案するトレンドやテクニックもあります。

現代の化粧は、自分の好みや目的に合わせて自由に楽しむことができるものです。

 

古代エジプトの化粧の意味

古代エジプトの化粧の意味は、「医療行為としての肌の保護」「魔よけ」ということです。古代エジプトでは、砂漠気候で日差しが強く乾燥していたため、肌を守るために化粧をしていました。また、神々や悪霊から身を守るためにも化粧をしていました。

古代エジプトの化粧は、主に天然素材で作られていました。例えば、黒色や緑色のアイシャドウは鉱物や植物から作られたカジャルという物質で、目元に塗ることで紫外線から目を守ったり、眼病から予防したりしていました。また、赤色やオレンジ色のチークやリップは赤土やヘナなどから作られていました。

古代エジプトの化粧は、健康や安全を守るために必要なものでした。

 

 

 

 

おわりに

今回は、認知症の方へのアクティビティについてご紹介しました。認知症の方にとって、アクティビティは心身の健康や生きがいを保つためにとても大切です。アクティビティは、認知症の方の個性や好み、能力に合わせて選ぶことがポイントです。また、一緒に楽しむことで、認知症の方とのコミュニケーションや信頼関係を深めることができます。ぜひ、このブログ記事を参考にして、認知症の方へのアクティビティを実践してみてください。最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!