認知症サポートの道

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ウォーキングで認知症予防!地域の高齢者と一緒に参加しよう!地域型認知症予防プログラムの紹介

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認知症は、高齢者にとって最も恐れられる病気の一つです。認知症になると、記憶力や判断力、言語能力などが低下し、日常生活に支障をきたします。認知症は現在、完全に治すことができる病気ではありませんが、発症を遅らせることは可能です。そのためには、どのような予防策をとるべきでしょうか?

今回は、認知症予防の効果が期待できる「地域型認知症予防プログラム」についてご紹介します。このプログラムは、東京都健康長寿医療センター研究所が開発したもので、地域の高齢者が自主的に参加し、グループで活動することを目指すものです。プログラムの内容は、ウォーキング、料理、旅行、パソコンなど、高齢者が好むものが用意されています。

このプログラムの特徴は、ウォーキングを行う場合、原則として週1回、MCI高齢者のみではなく健康高齢者も混在した、5〜6人程度の小集団でおこなうということです。MCIとは、Mild Cognitive Impairmentの略で、軽度の認知障害を指します。MCIの人は、認知症になるリスクが高いとされています。しかし、MCIの人だけを対象としたプログラムでは、活動の継続や地域への普及が難しいという問題があります。そこで、健康高齢者と一緒に活動することで、以下のメリットが得られると考えられています。

- 健康高齢者がMCI高齢者をサポートすることで、活動の質や安全性が向上する。
- 健康高齢者がMCI高齢者のモデルとなり、認知症予防の意識やモチベーションを高める。
- 健康高齢者とMCI高齢者が交流することで、互いの理解や信頼が深まり、孤立や差別を防ぐ。
- 健康高齢者もMCI高齢者も、認知症予防の効果を享受できる。

また、小集団で活動することにも、以下のメリットがあります。

- 小集団では、メンバー同士のコミュニケーションや協力が活発になり、エピソード記憶や注意分割機能などの認知機能を刺激する。
- 小集団では、メンバーに役割や責任が与えられ、計画力や実行力などの認知機能を鍛える。
- 小集団では、メンバーの個性やニーズに応じて、活動の内容やペースを調整できる。
- 小集団では、メンバーの成果や努力を認め合い、励まし合うことで、自己効力感や自尊感情を高める。

地域型認知症予防プログラムは、高齢者が自分の好きな活動を選び、自分のペースで進めることができます。プログラムの目標は、認知症予防のために有効な行動を習慣化し、地域に広げていくことです。プログラムに参加することで、高齢者は自分の健康や生活に対する意識や責任を持ち、自分の力で認知症に立ち向かうことができます。また、高齢者同士の交流や支え合いが生まれ、地域の活性化やコミュニティの形成にも貢献します。

認知症は、個人の問題ではなく、社会の問題です。認知症にならないためには、高齢者だけでなく、家族や地域の人々も一緒になって予防に取り組む必要があります。地域型認知症予防プログラムは、その一つの方法です。あなたも、地域の高齢者と一緒に、認知症予防の活動に参加してみませんか?

 

ウォーキングで認知症予防!脳の血流を増やす効果と注意点

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https://youtube.com/shorts/KTPfNK8SOJE?si=G0xwetcAJl-FRMlm

認知症は、高齢者の大きな悩みの一つです。認知症になると、記憶力や判断力などの脳の機能が低下し、日常生活に支障をきたします。認知症には、完全に治すことができる薬はありませんが、予防することは可能です。認知症の予防には、食事や睡眠などの生活習慣の改善や、趣味や社会活動などの脳の刺激が重要ですが、その中でも特に効果的なのが、運動です。

運動は、認知症の予防にどのように役立つのでしょうか?運動には、以下のようなメリットがあります。

- 運動は、心臓や血管の働きを良くし、脳に十分な酸素や栄養を送ります。これにより、脳の血流が増大し、脳細胞の活性化や新生を促します。脳の血流が増えると、記憶や学習などの認知機能が向上することが、研究で示されています¹²。
- 運動は、生活習慣病の予防にもなります。生活習慣病は、糖尿病や高血圧などの病気の総称で、これらの病気は、脳血管の障害やアルツハイマー病などの認知症のリスクを高めます。運動は、血糖値や血圧を下げる効果があり、生活習慣病の発症を防ぐことができます³⁴。
- 運動は、気分や精神状態にも良い影響を与えます。運動すると、エンドルフィンやセロトニンなどの神経伝達物質が分泌され、リラックスや快感を感じることができます。これにより、ストレスやうつなどの心の問題を軽減することができます。心の問題も、認知症の発症に関係していると考えられています⁵⁶。

以上のように、運動は、認知症の予防に多方面から効果を発揮します。では、どのような運動がおすすめなのでしょうか?運動の種類や強度は、個人の体力や好みによって異なりますが、一般的には、有酸素運動が効果的です。有酸素運動とは、酸素を使ってエネルギーを作り出す運動のことで、ジョギングやサイクリングなどが代表的です。有酸素運動は、脂肪を燃焼させるだけでなく、心肺機能を高めることができます。

有酸素運動の中でも、特に手軽で効果的なのが、ウォーキングです。ウォーキングは、誰でもどこでも始められる運動で、特別な道具や服装も必要ありません。ウォーキングは、軽い運動に見えますが、実は、脳の血流を増やす効果が高いことが、研究で分かっています 。ウォーキングは、歩く速度や距離によって、運動強度を調節することができます。運動初心者の方は、無理をせずに、自分のペースで歩くことから始めましょう。慣れてきたら、少しずつ歩く速度や距離を増やしていきましょう。目安としては、息が少し上がるくらいの速さで、1日に30分以上、週に3日以上歩くことが、認知症予防に効果的です 。

ウォーキングをする際には、以下の点に注意しましょう。

- ウォーキングの前には、ストレッチや準備運動をして、筋肉や関節をほぐしましょう。ウォーキングの後には、クールダウン運動をして、心拍数や血圧を落ち着かせましょう。
- ウォーキング中には、水分補給を忘れないようにしましょう。特に暑い日や乾燥した日には、こまめに水やスポーツドリンクなどを飲みましょう。
- ウォーキングの際には、適切な服装や靴を選びましょう。服装は、動きやすく、汗を吸収しやすいものが良いです。靴は、足に合ったサイズで、クッション性や通気性の良いものが良いです。靴下も、足にぴったりとフィットするものを選びましょう。
- ウォーキングは、自分の体調や気分に合わせて行いましょう。無理をして疲れすぎたり、怪我をしたりしないようにしましょう。体に異常を感じたら、すぐに休憩をとりましょう。また、持病がある方は、医師に相談してからウォーキングを始めましょう。

ウォーキングをするときには、単に歩くだけでなく、周囲の景色や音を楽しんだり、友人や家族と一緒におしゃべりをしたりすることもおすすめです。これらは、脳に刺激を与えたり、人とのつながりを深めたりすることにもなります。ウォーキングは、身体的にも精神的にも健康になることができる素晴らしい運動です。

認知症予防に効果的なウォーキングプログラムの紹介

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https://youtube.com/shorts/jvcad6EWIio?si=M8gR846yYummcG76

認知症予防に効果的なウォーキングプログラムの紹介

こんにちは。今日は、認知症予防に効果的なウォーキングプログラムについてご紹介したいと思います。

認知症は、脳の神経細胞が損傷し、記憶力や判断力などの認知機能が低下する病気です。認知症になると、日常生活や社会活動に支障が出るだけでなく、身体的な健康も悪化する可能性があります。

認知症の原因は、加齢や遺伝などさまざまですが、生活習慣も大きく影響します。特に、運動不足や孤立は、認知症のリスクを高める要因として知られています。

そこで、認知症予防におすすめなのが、ウォーキングプログラムです。ウォーキングプログラムとは、ウォーキングを通して、身体的にも精神的にも健康になることを目指すプログラムです。

ウォーキングプログラムのメリットは、以下のようなものがあります。

- ウォーキングは、全身の筋肉や血管を動かし、心肺機能や代謝を向上させます。これにより、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を予防することができます。
- ウォーキングは、脳に酸素や栄養を送り、脳の活性化を促します。これにより、記憶力や集中力などの認知機能を維持することができます。
- ウォーキングは、ストレスや不安を軽減し、気分を明るくします。これにより、うつ病認知症の予防にも効果があります。
- ウォーキングは、仲間と一緒に行うことで、コミュニケーションや交流を増やすことができます。これにより、孤立や寂しさを防ぎ、社会参加や生きがいを高めることができます。

ウォーキングプログラムの具体的な方法としては、以下のようなものがあります。

- 歩数や早歩きの時間を記録する「ウォーキングカレンダー」に各自が1週間の記録をつけ、メンバー同士でその結果を報告し合うことで、ウォーキングの習慣化を促進することができます¹²。
- ウォーキングと同時に、計算やしりとりなどの認知課題を行うことで、脳の負荷を高めることができます。これを「コグニサイズ」と呼び、国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防運動プログラムです³。
- ウォーキングの前後に、LINEなどのSNSを使って、メンバーと情報交換や雑談をすることで、人とのつながりを強化することができます⁴。

いかがでしょうか。ウォーキングプログラムは、認知症予防に効果的なだけでなく、楽しくて続けやすいプログラムです。ぜひ、興味のある方は、仲間を見つけて、ウォーキングプログラムに挑戦してみてください。

地域型認知症予防プログラムとは?仲間と一緒に楽しく認知症予防をしよう

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https://youtube.com/shorts/gPk6fmSAc1Q?si=FVcfCzSsGCA3mHo3

認知症は、高齢者の健康と生活の質に大きな影響を与える疾患です。認知症の発症は遺伝的な要因だけでなく、生活習慣や環境にも関係しています。認知症の予防には、適度な運動や知的活動が有効であるという研究結果があります¹²。

しかし、運動や知的活動を習慣化するのは簡単ではありません。特に、高齢者は孤立やモチベーションの低下などの障害に直面することが多く、自分だけで行動を変えるのは困難です。そこで、地域の仲間と一緒に楽しく活動することが、認知症予防のための行動変容を促すことになります。

地域型認知症予防プログラムとは、地域の高齢者が小集団で定期的にウォーキングやさまざまな知的活動を行うことで、認知症の発症を遅らせることを目的としたプログラムです³⁴。このプログラムは、東京都健康長寿医療センター研究所が開発したテキストを使用し、認知症予防ファシリテーターと呼ばれる専門の指導者が支援します。

このプログラムの特徴は、以下のとおりです。

- 参加者は自分の好みに合ったプログラムを選択できます。ウォーキング、料理、旅行、パソコンの4つのプログラムが用意されています。これらのプログラムは、認知症の発症に関係するエピソード記憶、注意分割機能、計画力などの認知機能を刺激することができます。
- プログラムは5〜6人程度の小集団で行います。これは、集団内でのコミュニケーションや協力を促し、メンバー同士のサポートや役割の遂行を可能にするためです。また、小集団であれば、個人のペースやニーズに合わせて活動を調整することができます。
- プログラムは原則として週に1回行います。これは、運動や知的活動を習慣化するためには、定期的かつ継続的に行うことが重要であるためです。プログラムの期間は、標準コースでは12週間、集中コースでは5週間です。
- プログラムの目標は認知症予防であることを参加者が意識します。これは、参加者が認知症予防の方法や意義を理解し、自分の行動を変えることに積極的になることを期待するためです。また、メンバーひとりひとりが認知症にならないことを目標にすることで、助け合いや役割分担が自然にできるようになります。
- プログラムはファシリテーターが支援します。ファシリテーターは、認知症予防に有効な活動方法についての情報を提供し、モデルを示します。また、プログラム活動の中でメンバー同士が楽しく、そして信頼関係が構築できるよう支援を行います。グループが自立した後も時々活動をモニターし助言をします。
- 参加者は自立して活動の継続を目指します。プログラムを終了した後も、メンバーは自分たちで活動を続けることを目指します。そのために、プログラムの中で自分の達成できそうな目標を決めたり、活動の記録や報告をしたりします。
- 活動グループの組織化をはかり、地域にプログラムを普及させます。活動グループがネットワークや組織を作り、地域の中で認知症予防の啓発活動や後続の活動を支援する担い手となることを目指します。ミニコミ誌の発行や活動発表会の開催などを通して認知症予防の啓発を行ったり、行政や市民団体と協力して後発グループの立ち上げを支援したりします。
- プログラムの行動評価と結果評価を行います。ウォーキングや知的活動プログラムにおいて行動目標を設定し、それが達成されたかどうかについて行動評価を行います。また、プログラムの効果評価として集団の認知機能検査(ファイブ・コグ)を実施し認知機能が維持されたかどうかの評価を行います。

地域型認知症予防プログラムは、高齢者の健康と生活の質の向上に貢献するだけでなく、地域社会の活性化や連携にもつながるプログラムです。認知症予防のために、地域の仲間と一緒に楽しく活動してみませんか?

 

認知症予防に効果的な運動とは?

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https://youtube.com/shorts/ctkfsc_XhxY?si=UTZYhKulDmt6xiik

# 認知症予防に効果的な運動とは?

認知症は、高齢者の間で増加している深刻な社会問題です。認知症になると、記憶力や判断力、言語能力などが低下し、日常生活に支障をきたします。認知症の原因は、アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型など、さまざまなタイプがありますが、現在のところ、完治する方法は見つかっていません。

しかし、認知症は必ずしも避けられない運命ではありません。認知症の発症や進行を遅らせることができる予防法があります。その一つが、**運動**です。

運動は、認知症予防において、多くの科学的根拠に基づいて効果があることが示されています。運動には、以下のようなメリットがあります。

- **血流の改善**:運動によって、心臓や血管の働きが良くなり、脳に酸素や栄養素が十分に届きます。これによって、脳細胞の活性化や新しい神経回路の形成が促されます。また、脳卒中などの脳血管障害のリスクも低減されます。
- **ストレスの緩和**:運動によって、ストレスホルモンの分泌が抑えられ、気分が安定します。ストレスは、認知症の発症や悪化に影響する要因の一つです。運動は、ストレスに対する耐性を高めるとともに、リラックス効果ももたらします。
- **社会的交流の促進**:運動をグループで行うと、仲間とのコミュニケーションや協調性が高まります。社会的交流は、認知機能の維持や向上に重要な役割を果たします。孤立や孤独感は、認知症のリスクを高めると言われています。

運動は、認知症だけでなく、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病に対しても、予防や改善の効果があります。生活習慣病は、認知症の発症や進行に悪影響を及ぼす可能性があります。運動は、全身の健康を保つためにも有益です。

では、どのような運動が認知症予防に効果的なのでしょうか?

一般的には、**有酸素運動**と**筋力トレーニング**の組み合わせがおすすめです。有酸素運動とは、心拍数や呼吸数が上がるような運動のことで、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどが該当します。筋力トレーニングとは、筋肉を鍛える運動のことで、ダンベルやゴムバンドなどを使ったものが該当します。

有酸素運動は、脳の血流を改善し、脳の老化を防ぎます。筋力トレーニングは、体力やバランス感覚を高め、転倒や骨折などの事故を予防します。また、両方とも、脳の課題解決能力や注意力などの高次機能にも良い影響を与えます。

運動の頻度や強度は、個人の体力や健康状態に合わせて調整する必要があります。無理をせず、楽しく続けることが大切です。運動の前後には、水分補給やストレッチなどの準備運動や整理運動を行うことも忘れずにしましょう。

地域で展開されている認知症予防プログラムに参加することも、運動を習慣化するための一つの方法です。専門家の指導や仲間との刺激が受けられることで、運動の効果やモチベーションが高まるかもしれません。認知症予防プログラムの詳細は、地域の保健所や福祉センターなどにお問い合わせください。

運動は、認知症予防において、科学的に効果があることが証明されている予防法の一つです。運動は、認知症だけでなく、生活習慣病や全身の健康にも良い影響を与えます。運動を日常生活に取り入れることで、健康で快適な高齢期を迎えることができるでしょう。ぜひ、運動を始めてみましょう。

 

認知症のBPSDによる性的な異常行動について

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https://youtube.com/shorts/kMKO_TRJ360?si=Du5y3XtaUQgBGa0B
認知症のBPSDとは、認知症の進行に伴って現れる行動や心理の変化のことで、Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略です。BPSDにはさまざまな症状がありますが、その中でも性的な異常行動は、介助者や家族にとって大きな悩みや苦痛の原因となります。

性的な異常行動とは、認知症の人が、自分や他人の性器に触れたり、下着を脱いだり、性的な言葉やジェスチャーを発したり、性交渉を求めたりするなどの行動のことです。このような行動は、認知症の人にとっては自然なことかもしれませんが、周囲の人にとっては不快であり、場合によっては暴力や虐待につながる恐れもあります。

では、なぜ認知症の人は性的な異常行動を起こすのでしょうか?その原因は、主に以下の3つに分けられます。

- 脳の機能低下による欲望のコントロールの喪失
- 記憶の障害による自分や他人の認識の変化
- 環境や対人関係のストレスによる不安や欲求不満の発散

まず、脳の機能低下による欲望のコントロールの喪失とは、認知症の人の脳では、前頭葉という部分が萎縮していきます。前頭葉は、自分の感情や欲望を抑えたり、社会的なルールや常識に従ったりすることを司る部分です。したがって、前頭葉が機能しなくなると、認知症の人は、自分の性的な欲望をコントロールできなくなり、場所や相手を選ばずに性的な行動をとるようになります。

次に、記憶の障害による自分や他人の認識の変化とは、認知症の人の脳では、側頭葉という部分が萎縮していきます。側頭葉は、自分や他人の顔や名前、過去の出来事などを記憶する部分です。したがって、側頭葉が機能しなくなると、認知症の人は、自分や他人の正しい年齢や関係性を忘れてしまい、自分は若い頃に戻ったと思ったり、配偶者や子供を見知らぬ人だと思ったりします。その結果、認知症の人は、自分にとっては恋人や配偶者だと思っている人に対して、性的な行動をとるようになります。

最後に、環境や対人関係のストレスによる不安や欲求不満の発散とは、認知症の人は、自分の身体や生活が変化していくことに不安や恐怖を感じたり、周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、孤独や退屈を感じたりします。そのような状況では、認知症の人は、性的な行動をとることで、自分の存在やアイデンティティを確認したり、人とのつながりや愛情を求めたり、ストレスや不満を発散したりするようになります。

以上のように、認知症のBPSDによる性的な異常行動は、脳の機能低下や記憶の障害、環境や対人関係のストレスなどの複雑な要因によって引き起こされるものです。そのため、介助者や家族は、単に止むを得ないと割り切るのではなく、認知症の人の気持ちや状況を理解し、適切な対応をすることが大切です。

では、具体的にどのように対応すればよいのでしょうか?以下に、性的な異常行動に対する対応のポイントをいくつか紹介します。

- 性的な行動をとる理由や背景を探る
- 性的な行動をとるトリガーを避ける
- 性的な行動をとるタイミングや場所を予測する
- 性的な行動をとる相手を変える
- 性的な行動をとる代わりの行動を提供する
- 性的な行動をとる際の注意や制限を伝える
- 性的な行動をとった後のフォローや評価をする

まず、性的な行動をとる理由や背景を探るというのは、認知症の人が性的な行動をとるのは、何かしらのメッセージを伝えたいからだと考えることです。例えば、性的な行動をとるのは、自分の存在やアイデンティティを確認したいからかもしれませんし、人とのつながりや愛情を求めているからかもしれませんし、ストレスや不満を発散したいからかもしれません。そのようなメッセージを読み取ることで、認知症の人の気持ちやニーズに寄り添うことができます。

次に、性的な行動をとるトリガーを避けるというのは、認知症の人が性的な行動をとるのを引き起こす要因を特定し、できるだけ排除することです。例えば、性的な行動をとるのは、テレビや雑誌などの性的な刺激に反応しているからかもしれませんし、下着やパジャマなどの衣服に不快感を感じているからかもしれませんし、排泄や入浴などの介助に恥ずかしさや不安を感じているからかもしれません。そのようなトリガーを減らすことで、性的な行動をとる頻度や程度を抑えることができます。

 

BPSDとは何か?認知症の人の行動や心理の変化の原因と対策を解説

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https://youtube.com/shorts/QvsCiF03nPo?si=WESU3zZY0wwK0BlK

BPSDとは、認知症の中核症状に加えて現れる行動や心理の症状のことで、Behavioral and psychological symptoms of dementiaの略です。BPSDは、認知症の人の脳の病変や進行度、性格や生活環境などによって異なりますが、一般的に以下のような症状があります。

- 幻覚:存在しないものや人を見たり聞いたりする
- 妄想:被害妄想や物盗られ妄想など、現実とは異なる思い込みをする
- 興奮:怒りや暴力、叫び声などの感情の高ぶりを示す
- 不穏:落ち着きがなく、イライラや不安を感じる
- 徘徊:目的もなく歩き回ったり、家を出てしまったりする
- 焦燥:自分の思い通りにならないことに対して、焦りや不満を感じる
- 社会的に不適切な言動:下着姿で歩いたり、性的な発言や行動をしたりする
- 性的逸脱行為:他人に対してセクハラや暴力をふるったり、自慰行為をしたりする
- 暴言:罵ったり、ののしったり、悪口を言ったりする
- 抑うつ:悲しみや無気力、自殺願望などの気分の低下を示す
- アパシー:自発性や意欲がなく、周囲に興味を示さない

BPSDは、認知症の人本人にとっても苦痛や不安を感じさせるだけでなく、介護者にとっても大きな負担となります。BPSDが重度になると、介護者は精神的にも肉体的にも疲弊し、介護拒否や虐待を引き起こす可能性があります。また、BPSDは認知症の進行を早めたり、入院や施設入所の必要性を高めたりすることもあります。

BPSDの原因は、脳の病変や認知機能の低下によるものだけではありません。身体的な病気や薬の副作用、生活環境や人間関係の変化、介護者の対応の仕方など、様々な要因が関係しています。そのため、BPSDの対策は、一概には言えませんが、以下のようなことに注意すると良いでしょう。

- 身体的な病気や薬の副作用がないか、定期的に医師に相談する
- 生活環境を整える。明るく静かで安全な空間を作り、適度な刺激や趣味を提供する
- 人間関係を大切にする。家族や友人との交流を維持し、孤立や孤独感を防ぐ
- 介護者の対応を工夫する。本人の自尊心を傷つけないようにし、安心感や信頼感を与える。短くて分かりやすい言葉やジェスチャーを使ってコミュニケーションをとる。本人の気持ちや状況を理解し、無理に押し付けないようにする
- 介護者の自己ケアをする。自分の感情やストレスをコントロールし、適度な休息やリフレッシュをとる。必要ならば、専門家や支援者に相談する

BPSDは、認知症の人と介護者の双方にとって、大きな課題となります。しかし、BPSDは必ずしも悪いことだけではありません。BPSDは、認知症の人が何かを訴えたり、自分の存在を主張したりする方法でもあります。BPSDの背景にある本人の気持ちやニーズを理解し、寄り添うことで、BPSDを軽減させることができるかもしれません。BPSDに対して、恐れるのではなく、向き合う姿勢が大切です。