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BPSDとは何か?認知症の人の行動や心理の変化の原因と対策を解説

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BPSDとは、認知症の中核症状に加えて現れる行動や心理の症状のことで、Behavioral and psychological symptoms of dementiaの略です。BPSDは、認知症の人の脳の病変や進行度、性格や生活環境などによって異なりますが、一般的に以下のような症状があります。

- 幻覚:存在しないものや人を見たり聞いたりする
- 妄想:被害妄想や物盗られ妄想など、現実とは異なる思い込みをする
- 興奮:怒りや暴力、叫び声などの感情の高ぶりを示す
- 不穏:落ち着きがなく、イライラや不安を感じる
- 徘徊:目的もなく歩き回ったり、家を出てしまったりする
- 焦燥:自分の思い通りにならないことに対して、焦りや不満を感じる
- 社会的に不適切な言動:下着姿で歩いたり、性的な発言や行動をしたりする
- 性的逸脱行為:他人に対してセクハラや暴力をふるったり、自慰行為をしたりする
- 暴言:罵ったり、ののしったり、悪口を言ったりする
- 抑うつ:悲しみや無気力、自殺願望などの気分の低下を示す
- アパシー:自発性や意欲がなく、周囲に興味を示さない

BPSDは、認知症の人本人にとっても苦痛や不安を感じさせるだけでなく、介護者にとっても大きな負担となります。BPSDが重度になると、介護者は精神的にも肉体的にも疲弊し、介護拒否や虐待を引き起こす可能性があります。また、BPSDは認知症の進行を早めたり、入院や施設入所の必要性を高めたりすることもあります。

BPSDの原因は、脳の病変や認知機能の低下によるものだけではありません。身体的な病気や薬の副作用、生活環境や人間関係の変化、介護者の対応の仕方など、様々な要因が関係しています。そのため、BPSDの対策は、一概には言えませんが、以下のようなことに注意すると良いでしょう。

- 身体的な病気や薬の副作用がないか、定期的に医師に相談する
- 生活環境を整える。明るく静かで安全な空間を作り、適度な刺激や趣味を提供する
- 人間関係を大切にする。家族や友人との交流を維持し、孤立や孤独感を防ぐ
- 介護者の対応を工夫する。本人の自尊心を傷つけないようにし、安心感や信頼感を与える。短くて分かりやすい言葉やジェスチャーを使ってコミュニケーションをとる。本人の気持ちや状況を理解し、無理に押し付けないようにする
- 介護者の自己ケアをする。自分の感情やストレスをコントロールし、適度な休息やリフレッシュをとる。必要ならば、専門家や支援者に相談する

BPSDは、認知症の人と介護者の双方にとって、大きな課題となります。しかし、BPSDは必ずしも悪いことだけではありません。BPSDは、認知症の人が何かを訴えたり、自分の存在を主張したりする方法でもあります。BPSDの背景にある本人の気持ちやニーズを理解し、寄り添うことで、BPSDを軽減させることができるかもしれません。BPSDに対して、恐れるのではなく、向き合う姿勢が大切です。