認知症サポートの道

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40歳以上65歳未満の認知症患者は介護保険サービスを受けられる?特定疾病とは何か

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40歳以上65歳未満の認知症患者は介護保険サービスを受けられる?特定疾病とは何か

認知症というと高齢者に多い病気というイメージがありますが、実は40歳以上65歳未満の人でも認知症になることがあります。これを「初老期における認知症」と呼びますが、この認知症介護保険制度の特定疾病に該当するため、介護保険サービスを受けることができます。

この記事では、初老期における認知症の原因や症状、特定疾病として認められる条件や診断基準、介護保険サービスの利用方法や負担割合などについて詳しく解説していきます。

初老期における認知症とは

初老期における認知症とは、40歳以上65歳未満の人が発症した認知症のことで、18歳~39歳の間に発症した若年性認知症を加えて若年性認知症と総称されます¹。

若年性認知症の主な原因は、脳血管性認知症アルツハイマー認知症の2つで、その他には頭部外傷後遺症、ピック病、アルコール性認知症レビー小体型認知症などがあります¹。

若年性認知症の症状は、基本的な症状である「中核症状」と心理的な原因によって起こる症状である「行動・心理症状」の2つに分けられます¹。

中核症状では、記憶障害、見当識障害、理解力・判断力の低下、実行機能障害などが現れます。行動・心理症状では、抑うつ、徘徊、妄想、幻覚、焦燥などの症状が現れます¹。

若年性認知症では、早期の治療がとても重要になります。早期発見・早期診断・早期治療を行うことによって、症状の進行を遅らせたり、生活の改善を図ったりすることが可能になります¹。

特定疾病として認められる条件と診断基準

介護保険制度では、65歳以上の第一号被保険者は、介護が必要になった原因がどのようなものであっても、要介護認定を受ければ介護保険サービスを利用することができます。

しかし、40歳~64歳までの第二号被保険者は、介護が必要になった原因が特定疾病であると認められなければ、介護保険サービスを利用することができません²。

特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって、次の2つの要件を満たすものです²。

- 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。
- 3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。

特定疾病には、16種類の病気が該当します²。

- がん(がん末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

初老期における認知症の診断基準としては、記憶障害と失語、失行、失認、実行機能の障害のいずれか1つ以上に該当しており、これらによる多彩な認知欠損の発現が認められることが重要なポイントとなります³。

これらの欠損によって社会的機能又は職業的機能に著しい障害が引き起こされ、病前の機能水準から著しく低下していることが認められれば、特定疾病として認定されます³。

ただし、これらの欠損の症状がせん妄の経過中にのみ現れるという場合には、特定疾病とは認められません³。