認知症サポートの道

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認知症の方の行動と心理的症状(BPSD)とは?原因と対応策を知ろう

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# 認知症の方の行動と心理的症状(BPSD)とは?原因と対応策を知ろう

認知症の方は、記憶力や判断力などの認知機能の低下に加えて、さまざまな行動や心理的な症状を示すことがあります。これらの症状は、**行動と心理的症状(BPSD: Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)**と呼ばれ、認知症の方の生活の質や介護者の負担に大きな影響を与えます。

BPSDの種類と頻度は、認知症の方によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。

- **徘徊**:目的もなく歩き回ったり、外出しようとしたりする行動です。認知症の方の約6割が徘徊を示します。
- **夜間不眠**:夜に眠れなかったり、昼夜逆転したりする症状です。認知症の方の約4割が夜間不眠を示します。
- **攻撃性**:言葉や身体で暴力をふるったり、拒否したりする行動です。認知症の方の約3割が攻撃性を示します。
- **幻覚・妄想**:存在しないものを見たり聞いたりしたり、事実と異なる信念を持ったりする症状です。認知症の方の約2割が幻覚・妄想を示します。
- **抑うつ・不安**:悲しくなったり、落ち込んだり、不安や恐怖を感じたりする症状です。認知症の方の約2割が抑うつ・不安を示します。

BPSDは、認知症の中核症状を背景に、環境や人間関係、身体機能の低下などが絡み合って発生するものです。例えば、引っ越しや部屋の模様替えをすると、環境が変化したことへの理解力が低下しているため、それをきっかけに徘徊・夜間不眠などが出ることがあります。

BPSDの原因を特定することは、適切な対応策をとるために重要です。BPSDの原因は、以下のように分類できます。

- **生物学的要因**:脳の構造や機能の変化、身体の病気や痛み、薬の副作用などが含まれます。
- **心理的要因**:自己のアイデンティティや役割の喪失、孤独や無力感、過去のトラウマやストレスなどが含まれます。
- **社会的要因**:家族や介護者との関係、周囲の人の態度や反応、生活環境や日常のルーティンなどが含まれます。

BPSDの対応策は、原因に応じて異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。

- **薬物療法**:BPSDの症状を緩和するために、抗精神病薬抗うつ薬などの薬を使用する方法です。薬物療法は、医師の指示に従って、必要最小限の量と期間で行うことが重要です。薬物療法には、副作用や依存性のリスクがあります。
- **非薬物療法**:BPSDの原因や背景に寄り添って、認知症の方の心理的・社会的ニーズに応える方法です。非薬物療法には、以下のようなものがあります。
- **環境調整**:認知症の方にとって安全で快適な生活環境を整えることです。例えば、部屋の明るさや温度を適切に調整したり、見慣れたものや思い出の品を置いたり、危険なものや刺激の強いものを取り除いたりします。
- **人間関係のサポート**:認知症の方にとって信頼できる人との関係を維持することです。例えば、家族や介護者が優しく声をかけたり、触れたり、笑顔で接したりします。また、認知症の方の気持ちや意見を尊重したり、共感したり、励ましたりします。
- **活動の提供**:認知症の方にとって楽しくて有意義な活動を提供することです。例えば、趣味や好きなことをしたり、音楽やアートなどの芸術活動をしたり、運動やリラクゼーションなどの身体活動をしたりします。活動は、認知症の方の能力や好みに合わせて選びます。

BPSDは、認知症の方の苦しみや困難を表すサインです。BPSDに対して、怒ったり、無視したり、否定したりするのではなく、理解しようとしたり、支えようとしたりすることが大切です。BPSDの原因を探り、適切な対応策をとることで、認知症の方の生活の質を向上させることができます。