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3級認知症ライフパートナー検定試験 第2章: 心理・BPSD・家族ケア対策

 認知症ライフパートナー検定試験3級の第2章についてお話ししたいと思います。家族やケア者にとって、認知症の人の心理や周辺症状への理解は重要です。認知症ライフパートナー検定試験3級の第2章では、これらのポイントに焦点を当てて出題されます。認知症の人の心理的特性やBPSD(行動・心理的症状)に対する対応、家族への支援策などが焦点となります。この章の理解は試験の重要なテーマであり、また実際のケアにも役立つ情報です。記事では章ごとの概要や具体的な対応策を紹介しており、認知症ケアに関わる方々にとって貴重な情報源となるでしょう。

2-1認知症の人の心理

まずは、認知症の人の心理について考えてみましょう。高齢期には、心理的な特性が変化します。その特性は、次の3つに分けられます。

  • 個人差
  • ライフイベントの影響
  • 意欲の低下

これらは、認知症の人だけでなく、高齢者全般に当てはまることです。しかし、認知症の人は、これらの特性がより強く現れる場合があります。例えば、個人差では、性格や価値観が変わらないことが多いですが、認知症の人は、記憶障害や判断力低下などによって、以前と違う反応を示すことがあります。また、ライフイベントでは、引退や配偶者の死別などが大きなストレスとなりますが、認知症の人は、それらを受け入れることが難しくなります。さらに、意欲の低下では、自分で何かをすることに興味や関心が減っていきますが、認知症の人は、自分でできることが少なくなることで自信を失ってしまいます。

これらの心理的特性を理解することで、認知症の人に寄り添ったケアを行うことができます。高齢期の心理的特性は、試験でも重要な記述ですので、覚えておきましょう。

2-2周辺症状、BPSDの理解と対応

次に、認知症の人に現れる周辺症状やBPSD(行動・心理的症状)について見ていきましょう。周辺症状とは、記憶障害や判断力低下以外に起こる身体的・精神的な変化です。BPSDとは、周辺症状のうち、行動や感情に関係するものです。BPSDは、認知症の人の生活の質を低下させるだけでなく、家族や介護者にも大きな負担となります。そのため、BPSDの理解と対応は、認知症ケアの重要なポイントです。

BPSDには、さまざまな症状がありますが、ここでは、主な6つの症状とその対応例を紹介します。

  • 意欲や活動性の低下
    • 認知症の人は、自分で何かをすることに興味や関心がなくなります。これは、自分でできることが少なくなることや、周囲から否定的な反応を受けることで自信を失ってしまうことが原因です。
    • 対応例:認知症の人ができることを見つけて一緒に行う。適度なほめ言葉や励ましをかける。日常生活に変化や刺激を与える。
  • 物盗られ妄想
    • 認知症の人は、自分の物がなくなったり移動したりすると、他人が盗んだと思い込みます。これは、自分がどこに置いたか忘れてしまったり、物事を正しく理解できなくなったりすることが原因です。
    • 対応例:物盗られ妄想を否定したり論理的に説明したりすると逆効果です。認知症の人の気持ちを受け止めて安心させる。物が見つかったら一緒に喜ぶ。大切な物は決まった場所に置く。
  • 徘徊
    • 認知症の人は、家や施設から出て行ってしまうことがあります。これは、過去の記憶や場所に引き寄せられたり、不安やストレスから逃れたいと思ったりすることが原因です。
    • 対応例:徘徊を防止するために扉に鍵をかけたりすると不安や不満が増します。徘徊の原因や目的を探って対処する。徘徊しても安全な場所や時間帯を設定する。必要ならGPSなどで位置情報を確認できるようにする。
  • 暴力
    • 認知症の人は、暴言や暴力をふるうことがあります。これは、自分の意思や感情を伝えられなかったり、周囲から無視されたりすることで怒りや不満が爆発したりすることが原因です。
    • 対応例:暴力を振るわれても感情的に反応しない。認知症の人の気持ちや要求を聞いて受け入れる。暴力的な行動が起きそうになったら早めに気づいて回避する。暴力的な行動が起きたらその後フォローアップする。
  • 幻覚・妄想
    • 認知症の人は、存在しないものや人を見たり聞いたりしたり、現実と異なる考えに固執したりします。これは、視覚や聴覚などの感覚が衰えたり、記憶や思考が混乱したりすることが原因です。
    • 対応例:幻覚や妄想を否定したり論理的に説明したりすると逆効果です。認知症の人の気持ちや不安を受け止めて安心させる。幻覚や妄想が起きる原因やトリガーを探って対処する。幻覚や妄想が起きないように環境を整える。
  • 睡眠障害
    • 認知症の人は、夜に眠れなかったり昼間に眠ったりすることがあります。これは、生活リズムや体内時計が乱れたり、不安やストレスがあったりすることが原因です。
    • 対応例:認知症の人の生活リズムを整える。昼間に適度な運動や活動をさせる。夜にリラックスできる環境や雰囲気を作る。睡眠薬はできるだけ避ける。

以上が、BPSDの主な症状と対応例です。試験では、この内容がよく問われており、今後も出題が予想されますので、十分に注意が必要です。BPSDの対応は、認知症の人の個性や状況に合わせて柔軟に行うことが大切です。

2-3認知症と家族

続いて、認知症と生きる家族について考えてみましょう。家族は、認知症の人の最も身近な存在ですが、同時に最も大きな負担を抱える存在でもあります。家族に生じる問題と支援について、次の表にまとめました。

問題 支援
精神的な不安 情報提供や相談・助言
肉体的な疲労 介護サービスやヘルパーの利用
経済的な困難 給付金や補助金の申請
社会的な孤立 仲間づくりや交流会の参加

この表からわかるように、家族に生じる問題と支援は、対応させる形で大きくとらえることができます。具体的には、精神的な不安に対応してはどのような支援が有効であるか、といった視点でとらえていくとよいでしょう。試験では、この内容も重要ですので、覚えておきましょう。

2-4認知症の人のケアのポイント

最後に、認知症の人のケアのポイントについて見ていきましょう。認知症の人のケアでは、できることを活かしたはたらきかけと環境を活かしたはたらきかけの2つが大切です。

  • できることを活かしたはたらきかけ
    • 認知症の人は、自分でできることが少なくなりますが、できることはまだあります。そのできることを見つけて活かすことで、認知症の人の自立や自尊感情を支えることができます。
    • できることを活かすためには、記憶や思考などの認知機能を刺激することが有効です。そのためには、リアリティオリエンテーション(RO)という方法があります。ROとは、認知症の人に現実的な情報を提供することで、認知機能を向上させることを目的とした方法です。ROには、グループROと個別ROの2種類があります。グループROは、複数の認知症の人に対して行うもので、日付や天気などの情報を共有したり、クイズやゲームなどを行ったりします。個別ROは、一人の認知症の人に対して行うもので、写真や音楽などの個人的な情報を使って記憶や思考を呼び起こしたりします。
  • 環境を活かしたはたらきかけ
    • 認知症の人は、周囲の環境に影響されやすくなります。そのため、環境を工夫することで、認知症の人の生活の質を高めることができます。
    • 環境を工夫するためには、次の8つの視点が重要です。
      • 安全性:認知症の人が危険な目に遭わないようにする。
      • 刺激性:認知症の人が適度な刺激を受けられるようにする。
      • 機能性:認知症の人が自分でできることをサポートするようにする。
      • 親密性:認知症の人がプライバシーを守られるようにする。
      • 居心地:認知症の人がリラックスできるようにする。
      • 個性:認知症の人が自分らしさを表現できるようにする。
      • 意味性:認知症の人が生きがいや目的を感じられるようにする。
      • 参加性:認知症の人が社会的な関わりを持てるようにする。

以上が、認知症ライフパートナー検定試験3級の第2章の章別概要と対策です。この章では、認知症ケアの基本的な内容を学ぶことができます。試験では、この章から多くの問題が出題される可能性がありますので、しっかりと理解しておきましょう。

 

検定試験についてより詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

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