認知症サポートの道

「認知症と向き合う人々の支え手。認知症の勉強を日々研鑽中。」

認知症の方と楽しく過ごすための【レクリエーション】

こんにちは。今回は、認知症の方の為のレクリエーションについて考えていきたいと思います。認知症の方にとって、レクリエーションは心身の健康や生活の質を高めるためにとても重要です。しかし、どんなレクリエーションが適切で、どうやって実施するかは、個人や状況によって異なります。そもそもレクリエーションはなぜ必要なのかを理解してく必要があると思います。認知症の方のレクリエーションに関心がある方や、実践している方の参考になれば嬉しいです。

 

 

1|レクリエーションとは

レクリエーションとは、自由時間などに娯楽として行われる、自発的・創造的な様々な余暇の活動のことです。略してレクとも呼ばれます。レクリエーションの種類は、スポーツや音楽、手芸や工芸、文芸や自然探求、演劇や舞踊、社交的行事など、多岐にわたります。これらの活動は、肉体的・精神的な疲労(仕事・勉強など)を癒し、元気を回復するための休養・娯楽・気晴らし・気分転換であり、個人の健康を損なうようなものや、反社会的なものは除くという点で、レジャーとは異なります。

レクリエーションは、人間の生活に欠かせない要素です。レクリエーションによって、私たちはストレスを解消し、心身のバランスを保ちます。さらに、レクリエーションは、他人との交流や協力を促進し、社会性やコミュニケーション能力を高める効果もあります。

介護におけるレクリエーションとは、音楽や運動などを通して楽しみながら心身の機能を活性化させる活動です。

レクリエーションには、以下のような効果が期待されています。

  • 心身機能の維持・向上:体を動かしたり、頭を使ったりすることで筋力や体力、記憶力や判断力などを高めることができます。
  • 脳の活性化:音楽や香りなどの刺激を受けることで脳の神経細胞が活発に働くようになります。
  • コミュニケーションの機会:他の人と一緒にレクリエーションを楽しんだり、補完代替医師と話したりすることで人間関係を築くことができます。
  • 自尊心や有用感の回復:自分にもまだできることがあると感じたり、自分の作品や成果を見たりすることで自信を取り戻すことができます。

このように、レクリエーションは、認知機能だけでなく心身全体の健康に寄与する可能性があります。ただし、これらの方法は個人差があるため、必ずしも効果があるとは限りません。また、副作用や相互作用などのリスクも考えられます。そのため、レクリエーションや補完代替療法を行う場合は、主治医や専門家と相談して、適切な方法や量を決めることが大切です。

 

2|認知症の方にとって、レクリエーションの意味

認知症の方にとって、レクリエーションはただ楽しむだけではなく、心身機能の改善や維持、QOL(Quality of Life=生活の質)を高めるための重要な活動です。レクリエーションは認知症にも効果的で、他者とのコミュニケーションの促進、脳機能・身体機能の向上、生活に張り合いが出るなどの様々な効果が期待できます。

例えば、レクリエーションを行うことで、他者と話したり活動することが増えることで、日々の生活が楽しくなり、老人性うつや引きこもりの予防にもつながります。また、レクリエーションの過程で手先・体・言葉などを積極的に使うことにより、脳が活性化されると認知症予防や症状の進行を遅らせることにつながります。さらに、レクリエーションで楽しみながら体を動かすことで、身体機能の向上と健康の維持が期待できます。

このように、レクリエーションは認知症の方にとっての良い効果をもたらします。しかし、レクリエーションを行う際には、個人の興味や能力に合わせて適切な内容や難易度を選ぶことが大切です。また、レクリエーションは一人で行うよりもグループで行う方がより効果的です。グループで行うことで、仲間意識や協力感が生まれ、自己肯定感や自尊感情が高まります。さらに、グループで行うことで、他者からのフィードバックや刺激を受けることができます。

レクリエーションは認知症の方にとって有益な活動です。レクリエーションを通して、認知症の方は自分らしく生きる喜びを感じることができます。レクリエーションは認知症の方だけでなく、介護者や家族にも良い影響を与えます。レクリエーションは認知症の方と介護者や家族が一緒に楽しむことで、コミュニケーションや信頼関係を深めることができます。レクリエーションは認知症の方のQOLを高めるだけではなく、介護者や家族のQOLも高めることができます。

 

3|どのようなレクリエーション方法があるのか

認知症の方にとって、レクリエーションは生きがいや楽しみを提供するだけでなく、リハビリやコミュニケーションの機会にもなります。QOL(生活の質)を高めることが目的です。 認知症の方に適したレクリエーションは、体や頭、手指を使うものがあります。

例えば、体を動かすレクリエーションとしては、

体操

ダンス

ボール投げ

などがあります。これらは筋力や柔軟性、バランス感覚などを維持や向上させる効果があります。頭を使うレクリエーションとしては、

クイズ

計算

言葉遊び

などがあります。これらは記憶力や判断力、集中力などを刺激する効果があります。手指を使うレクリエーションとしては、

手芸

工芸

絵画

などがあります。これらは創造性や表現力を高める効果があります。

認知症の方に合ったレクリエーションを選ぶには、個人の興味や好みに応じた活動にすることが重要です。時間やルールを厳密に決めずに、自由度の高い活動にすることも大切です。また、自分の人生経験や趣味を活かせるレクリエーションを見つけることも良いでしょう。

 

4|レクリエーションの計画を立てる方法

レクリエーションの計画を立てる際には、入念な計画が必要です。計画を立てることで臨機応変な対応ができ、レクリエーションを自然に進行できます。計画をする上で確認すべき重要なポイントは大きく7つあります。①予定日時・場所 ②目的 ③対象者 ④種目・内容 ⑤必要物品・費用 ⑥スタッフの役割 ⑦リハーサル。

詳しくは、それぞれのポイントについて説明します。まず、予定日時と場所を事前に確認します。次に、レクリエーションをする上で何を目的に行うかを決めます。参加者の人数や年齢層、性別、対象とする疾患などを確認します。またその人がどのような活動が楽しめるのかを知るためにライフ・ヒストリー調査を行うとよいでしょう。ライフヒストリー調査では、幼少期、小学校時代、中学校時代と時期を区切って質問し、「どのような子どもだったのか、何をして遊んでいたのか、どのような友達がいたのか」など、なるべく具体的に聞き出すようにするにしそのヒストリー調査を元に、どのようなレクリエーションをするのかを検討し、計画します。必要物品や物品を購入するための費用を確認します。それぞれのスタッフの役割を分担し、グループを運営するリーダー、補助をするサブスタッフを決めます。最後に、レクリエーションをする前にリハーサルをしておくと当日の進行がスムーズになります。

これらのポイントを押さえておけば、より良いレクリエーションの計画が立てられるでしょう。

 

5|「ケの遊び」「ハレのあそび」

「ハレ」と「ケ」は、日本を代表する民俗学者柳田国男が、日本人の伝統的な世界観を表現するため定義した言葉です。

「ハレ」はお祭りや年中行事などを行う特別な日、非日常という意味があります。例えば、「ハレ」はお正月やお節句、お盆などの年中行事、神社の祭礼、七五三や成人式、冠婚葬祭などの非日常的な日のことをいいます。
「ケ」は普段の生活、日常という意味があります。

この二つの言葉は、日本人の価値観や行動様式に深く関わっています。例えば、「ハレ」の日には特別な服装や食事、言葉遣いなどをすることで、普段とは違う空気感を作り出します。また、「ハレ」の日には神仏や先祖に感謝や祈りを捧げることで、自分たちの存在や幸せを守ってくれる力に敬意を表します。一方、「ケ」の日には平穏で安定した生活を送ることを大切にします。また、「ケ」の日には自分や家族、地域社会などとの関係を築き、支え合うことで、生活の基盤を作ります。

「ハレ」と「ケ」は、日本人が長い歴史の中で培ってきた文化や精神性を反映しています。この二つの言葉を理解することで、日本人の心や考え方に近づくことができるかもしれません。

介護における「ハレ」の遊びは年中行事にあたります。私たちでいう旅行や趣味の発表会などと同様です。
そして、日々のレクリエーションが「ケ」の遊びになります。

日々の様々なレクリエーションのメニューは、多種多様な楽しさを効果的に提供し、「ハレ」年中行事と「ケ」日々のレクの両方を入れて作成することが重要であります。また、日々のレクの積み重ねが年中行事として結実するように連動すると、さらに楽しさがふくらみます。

 


6|介護現場でのレクリエーションを活発にするためにも

レクリエーションの本質は楽しさにあるといわれています。時間が経つのを忘れるほど楽しい遊びであれば、利用者のまたやりたいという感情が生まれ、脳や身体、心を活性化させることにつながります。

 

その楽しいレクリエーションを提供するはずの日々業務に追われる介護職員にとってレクリエーションが負担に思うこともよく聞きます。スタッフに理解してもらうためには、まずレクリエーションが認知症の方にとってどのような効果があるかを説明できることが重要です。なので今回解説した内容の学習が重要だということになります。また、レクリエーションを通じて、他の人とコミュニケーションをとる楽しみや生きがいを生み出すといった目的もあります。利用者と一緒に楽しんで職員の仕事の質の充実を目指すねらいもあります。これらの要素を共有することで、スタッフがレクリエーションの意義を理解し、積極的に取り組むようになるかもしれません。

 

終わりに

今回は、認知症の方にとって有効なレクリエーションの種類や方法についてご紹介しました。レクリエーションは、認知症の方の心身の健康を保つだけでなく、介護者とのコミュニケーションや関係性を深めることにも役立ちます。認知症の方に合ったレクリエーションを見つけて、楽しく過ごしていただければ幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!