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身体失認とは?原因と対処法をわかりやすく解説

こんにちは、このブログをご覧いただきありがとうございます。今回は、介護の現場でよく聞く言葉の一つである「身体失認」について、解説したいと思います。身体失認とはどんな状態なのでしょうか?どんな原因があるのでしょうか?どう対処すればいいのでしょうか?それでは、一緒に見ていきましょう。

身体失認とは

身体失認とは、自分のからだの部分がわからなくなることであり、排泄感覚や、病気・けがによるからだの痛みを、自分の感覚としてとらえることが難しくなる状態です。例えば、以下のようなことが起こります。

  • 自分の手足を他人のものだと思ってしまう
  • 自分の手足がなくなったり、増えたりしたと感じる
  • 自分の手足を動かせないと思ってしまう
  • 自分の手足に触れても感じない
  • 自分の手足が痛いと感じない

身体失認は、脳卒中や外傷などで脳に損傷が生じた場合に起こることが多く、特に右半球の損傷によって左側の身体に失認が起こることが多いです。これは、右半球が左側の身体や空間に関する情報を処理する役割を担っているからです。

身体失認の原因

身体失認は、脳に損傷が生じた場合に起こることが多いですが、その原因はさまざまです。以下に代表的なものを挙げます。

  • 脳卒中:脳血管が詰まったり破れたりして、脳組織に酸素や栄養が届かなくなることで起こります。脳卒中は日本では最も多い神経疾患であり、約10人に1人が一生のうちに発症すると言われています。
  • 外傷:交通事故や転倒などで頭部に強い衝撃を受けることで起こります。頭部外傷は若年層や高齢者に多く見られます。
  • 腫瘍:脳内に良性や悪性の腫瘍ができることで起こります。腫瘍は周囲の正常な脳組織を圧迫したり侵食したりして、その機能を障害することがあります。
  • 膿瘍:細菌や真菌などの感染によって、脳内に膿が溜まることで起こります。膿瘍は頭痛や発熱などの全身症状や、神経学的な異常を引き起こすことがあります。
  • 変性:アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患によって、脳組織が徐々に壊れていくことで起こります。神経変性疾患は進行性であり、認知機能や運動機能などに影響を及ぼします。

身体失認の対処法

身体失認は、脳の損傷によって起こる障害なので、完全に治すことは難しいです。しかし、以下のような対処法を行うことで、症状を軽減したり、日常生活の質を向上させたりすることができます。

  • 原因の治療:身体失認の原因となる病気や障害に対して、適切な治療を受けることが重要です。例えば、脳卒中や膿瘍の場合は、血管や感染の治療を行います。腫瘍の場合は、手術や放射線治療などを行います。変性の場合は、薬物療法や非薬物療法などを行います。

  • リハビリテーション:身体失認に対する特異的なリハビリテーション法は確立されていませんが、一般的には言語療法や作業療法などが行われます。これらのリハビリテーションでは、失認のある部位に対する注意力や意識を高めたり、失認を補うための戦略や技術を学んだりすることが目的です。

  • 環境整備:身体失認のある人は、日常生活において様々な困難や危険に直面する可能性があります。例えば、食事の際に皿の半分を見落としたり、着替えの際に片方の袖を忘れたりすることがあります。そこで、以下のような工夫をすることが役立ちます。

    • 失認のある側に物を置かないようにする
    • 失認のある側に声をかけたり触れたりして注意を促す
    • 失認のある側に鮮やかな色や模様のものを置く
    • 鏡や写真などで自分の身体を見せる

以上が、身体失認についての解説でした。身体失認は、自分のからだの部分がわからなくなるという不思議な現象ですが、脳の損傷によって起こるものです。原因や対処法について知っておくことで、介護の現場で適切な対応ができるようになります。この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。

 

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