認知症サポートの道

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【認知症】の親が通販にハマったらどうする?対処法と【成年後見制度】のメリット

今回は、認知症の親が通販にハマってしまったときの対処法と、成年後見制度についてお話しします。

認知症の親が通販にハマる現象は、よくある悩みです。テレビやカタログ、ネットなどで気に入った商品を見つけると、忘れてしまったり、衝動的に買ってしまったりすることがあります。中には高額な商品や不必要な商品を大量に購入することもあります。

このような問題は、どうしたらいいのでしょうか。そもそも、認知症になると通販にハマってしまう理由は何なのでしょうか。

 

1|認知症になると通販にハマる理由

認知症になると、記憶力や判断力が低下します。そのため、自分がすでに持っているものや必要なものを忘れてしまったり、商品の良さや値段を正しく判断できなかったりします。また、孤独や不安を感じている場合もあります。通販は、そんな認知症の人にとって魅力的なものです。新しいものや楽しいものを見ることで気分が上がったり、注文することで自分の存在意義を感じたりするからです。

2|通販にハマってしまった時の対処法

では、認知症の親が通販にハマってしまった場合、家族はどう対処すればよいでしょうか。以下にいくつかの方法を紹介します。

 2-1|通販会社に連絡して事情を説明する

通販会社には、同じような相談や依頼が多く届いています。そのため、通販会社によっては協力的な対応をしてくれる場合があります。例えば、親からの注文を家族の同意なしで受け付けないようにすることや、注文確認の連絡を家族に行うことなどです。これらの対応は企業側に義務はありませんが、可能な範囲で各社対処しています。再度相談してみると良いでしょう。

 2-2|電話機を変更する

親が電話で注文することが多い場合は、電話機を変更する方法が考えられます。スマートフォンであれば、電話をかけられる相手を制限設定できる機種もあります。シニアや子ども向けの機種であれば操作は簡単です。この際、「固定電話は高齢者詐欺の被害が多いから」という理由をつけて、固定電話を撤去し、スマホを固定電話代わりに使用してもらうのも一つの手です。また、固定電話にも認知症対策機能を備えた機種があります。「ハウディ優V」(NTT)⁴は、あらかじめ登録した相手先電話番号(通販会社など)への発信を規制できる機能があります。父親の行動を制限するのに効果がありそうであれば、交換してもいいかもしれません。


 2-3|成年後見制度を利用する

通販に限らず、認知症の親が悪徳業者などから被害を受ける可能性もあります。そうした場合は、成年後見制度を利用することを検討しましょう。成年後見制度とは、知的障害・精神障害認知症などによってひとりで決めることに不安や心配のある人が、いろいろな契約や手続をする際にお手伝いする制度です。家庭裁判所によって、成年後見人等が選ばれます。成年後見人等は、親の利益を考えながら、親を代理して契約などの法律行為をしたり、親が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、親が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、親を保護・支援します。成年後見制度には、「補助」「保佐」「後見」の3つの種類(類型)があります。障害や認知症の程度に応じて適切なものを選ぶことができます。詳しくは[厚生労働省のホームページ]や[パンフレット]をご覧ください。

成年後見はやわかり|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

以上、認知症の親が通販にハマってしまったときの対処法と、成年後見制度についてお話ししました。認知症の親は、自分の行動に悪気はありません。ただ、記憶力や判断力が低下してしまったために、通販に魅力を感じてしまうのです。家族は、そんな親の気持ちを理解しつつも、無駄な出費や被害を防ぐために、上記の方法などで対処してみてください。

それではまた次回お会いしましょう。