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【成年後見制度】後見人の報酬算定が改善へ 高齢者の意思決定を支えるプロセスを評価

認知症高齢者など意思能力の低下した人の財産管理などを担う成年後見人。その報酬算定について、最高裁判所が2025年4月から運用を改善する方針を発表しました。

これまでの報酬算定は、後見人が行った法律行為(例えば、高齢者に代わって福祉サービスの利用契約を結ぶこと)に応じて家庭裁判所が個別に決めていましたが、その根拠が不明瞭で不満が多かったのです。

1.|高齢者意思決定支援の新方針と報酬透明化:成年後見制度改革の展望

新しい方針では、法律行為だけでなく、高齢者の意思決定を支えるプロセス(例えば、高齢者と話し合ったり、家族や関係機関と連携したりすること)も評価するようにします。そのために、後見人が家庭裁判所に事務内容を報告する際の書式も改めるということです。

また、制度利用者と後見人があらかじめ報酬額を予測できるようにするために、最高裁判所が過去の報酬付与額の実績を示すことも決めました。

この方針は、厚生労働省成年後見制度利用促進専門家会議ワーキング・グループで説明されました。同グループの主査である新井誠・中央大教授は「最高裁から運用改善の時期が示されたのは喜ばしい」と評価しました。

成年後見事務を受任する側からは、「無報酬案件を受任する弁護士が一定数いる」ことや、「後見人に報酬を支払うことが難しい低所得者への助成制度に市町村間格差がある」ことなどが指摘されています。各団体の調査報告では、そうした実態が浮かび上がりました。

2.|成年後見制度の基本と役割:高齢者や障害者の保護と意思尊重

成年後見制度は、高齢者や障害者など意思能力の低下した人の生活や財産を守るための制度です。後見人は、制度利用者の意思や利益を尊重しながら、財産管理や身上監護などの事務を行います。後見人には、弁護士や司法書士社会福祉士などの専門職のほか、家族や友人などの身近な人もなることができます。

成年後見制度は、高齢化や認知症の増加に伴って、ますます重要になっています。しかし、制度の利用率はまだ低く、後見人の報酬問題も一因とされています。最高裁判所の方針が、制度の利用促進や後見人の活動支援につながることを期待したいと思います。

以下の表は、成年後見制度の概要をまとめたものです。初心者介護従者の方は、参考にしてください。

項目 内容
制度の目的 意思能力の低下した人(制度利用者)の生活や財産を守る
後見人の役割 制度利用者の意思や利益を尊重しながら、財産管理や身上監護などの事務を行う
後見人になれる人 弁護士や司法書士社会福祉士などの専門職や、家族や友人などの身近な人
後見人の報酬 家庭裁判所が個別に決めるが、2025年4月から運用改善される予定

: [成年後見の報酬算定で運用改善へ 最高裁「25年4月から」] : [成年後見制度利用促進専門家会議ワーキング・グループ] : [日本弁護士連合会] : [社会福祉法人全国社会福祉協議会]