認知症サポートの道

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介護の【基本理念】を学ぼう

介護サービスの基本を理解し、大切な方々への思いやりあるサポートを考えてみませんか?現代の高齢化社会において、生活の質向上や尊厳の保持は不可欠です。この記事では、介護サービスの中心にある利用者本位のアプローチと尊厳の重要性に焦点を当て、その背後にある理念を探求します。利用者の選択尊重とは何か、そして自立支援の意義についても解説します。この記事を通じて、介護に関わる方々の共感と気付きを得られるでしょう。是非、ご一読ください。

1|介護サービスの基本:利用者本位と尊厳を守る

介護サービスを提供するとき、大切なことは何でしょうか?それは、利用者の立場に立って考えることです。これを利用者本位と言います。

利用者本位とは、利用者の価値観や意思を尊重し、その人らしく生きることを支援することです。ただし、これは「利用者の言う通りにすればいい」ということではありません。利用者の言う通りにするだけでは、その人の本当のニーズや幸せを見逃してしまうかもしれません。

では、どうすれば利用者本位になれるでしょうか?そのためには、以下の二つの視点が必要です。

  • 生活の質(QOL)の向上
  • 尊厳の保持

 1-1|生活の質(QOL)の向上

生活の質(QOL)とは、その人が満足しているかどうかということです。例えば、健康状態や生活環境だけでなく、趣味や人間関係なども含まれます。介護サービスでは、利用者が自分の好きなことや大事なことをできるように助けることが大切です。

 1-2|尊厳の保持

皆さんは、高齢者の尊厳という言葉を聞いたことがありますか?高齢者の尊厳とは、高齢者が人間として尊重される権利や価値のことです。高齢者の尊厳を守ることは、介護の基本理念として重要視されています。

では、なぜ高齢者の尊厳を守ることが大切なのでしょうか?それは、高齢者が自分らしく生きるために必要だからです。高齢になっても、自分の人生や経験を大切にしたいと思う人は多いですよね。認知症になっても、自分の名前や家族を覚えていたいと思う人は多いですよね。そんな高齢者の気持ちに応えるためには、高齢者が自分の意思や感情を表現できる環境や関係を作ってあげることが必要です。

高齢者の尊厳を守るためにできること

では、具体的にどうすれば高齢者の尊厳を守ることができるのでしょうか?ここでは、介護従事者ができる3つのことを紹介します。

  • 高齢者の個性や好みを尊重する
    高齢者は一人一人違った個性や好みを持っています。例えば、食事や服装や趣味などです。介護従者は、高齢者の個性や好みを聞いて理解し、それに沿ったサービスや支援を提供するように心がけましょう。高齢者が自分らしく選択できる余地を与えることも大切です。
  • 高齢者の能力や責任感を肯定する
    高齢者は年齢や病気などで体力や認知力が低下しても、まだできることや貢献できることがあります。例えば、家事や趣味やボランティアなどです。介護従者は、高齢者の能力や責任感を認めて褒めてあげましょう。高齢者が自分に自信を持てるように励ましましょう。
  • 高齢者の人間関係や社会参加を支援する
    高齢者は孤独や孤立になりやすいです。しかし、高齢者にも家族や友人や地域とのつながりや役割が必要です。例えば、会話や交流や協力などです。介護従者は、高齢者の人間関係や社会参加を支援するようにしましょう。高齢者が自分の居場所や存在意義を感じられるように配慮しましょう。

高齢者の尊厳を守ることは、高齢者が幸せに生きるために欠かせないことです。介護従事者として高齢者の尊厳を守るためにできることを日々実践していきましょう。

もし、高齢者介護の基本理念についてもっと知りたい方がいらっしゃったら、以下の報告書を参考にしてください。この報告書は、厚生労働省に設置された高齢者介護研究会が2003年(平成15年)にまとめたもので、高齢者介護の現状や課題、方向性などを詳しく分析しています。この報告書を読むことで、高齢者介護の理解を深めることができるでしょう。

「2015年の高齢者介護」

厚生労働省

 

2|利用者の選択の尊重とは?

介護をするときに大切なことのひとつが、利用者の選択の尊重です。これは、利用者本位という考え方と関係があります。利用者本位とは、利用者の立場に立って考えることです。利用者の選択の尊重とは、利用者が自分で決めたことを尊重することです。

しかし、利用者が自分で決めたことが必ずしも良いことだとは限りません。例えば、あなたが道に迷っているときに、「右か左かどちらに行きますか?」と聞かれたら、どう答えますか?どんな道なのか、どこに行き着くのかわからないままでは、答えることができませんよね。だから、利用者が選択する前に、私たち介護従者がするべきことがあります。

それは、利用者に選択肢を提示することです。選択肢を提示するときには、以下の点に注意しましょう。

  • 選択肢は少なすぎず多すぎずであること
  • 選択肢は明確で具体的であること
  • 選択肢は利用者のニーズや希望に沿っていること
  • 選択肢は利用者にメリットやデメリットを説明していること

選択肢を提示したら、次は利用者の意思を確認することです。意思確認するときには、以下の点に注意しましょう。

  • 利用者が自分で答えられるように質問すること
  • 利用者が答えやすいように言葉や声のトーンを工夫すること
  • 利用者が答えた内容を反復して確認すること
  • 利用者が迷っている場合は時間を与えて待つこと

利用者の意思を確認したら、最後は利用者の選択を尊重して行動することです。行動するときには、以下の点に注意しましょう。

  • 利用者の選択を否定しないこと
  • 利用者の選択を変えようとしないこと
  • 利用者の選択に対して感謝や称賛を伝えること
  • 利用者の選択に対して責任や後悔を感じさせないこと

3|自立支援

介護保険制度の中で、自立支援という言葉をよく聞きますね。自立とは、自分で生活できることだと思っていませんか?でも実は、自立には色々な形があります。身体的な自立だけではなく、経済的な自立や精神的・人格的自立も大切です。

介護保険制度では、精神的・人格的自立が重視されています。これは、自分の意思や感情を尊重されることや、社会的に役割や関係性を持つことを意味します。しかし、これらのことは人によって解釈が違います。例えば、

  • 自分の好きなことをしたい
  • 家族や友人と一緒にいたい
  • 仕事や趣味に打ち込みたい
  • 人に迷惑をかけたくない
  • 人から必要とされたい

こんな風に、自立の目標や方法は人それぞれです。だからこそ、私たち介護従者は、利用者の方の自立の形を尊重して支援しなければなりません。誰にも頼りたくない方もいれば、誰かに依存しないと生きていけない方もいます。それらの方々が「自分がやりたいことを、自分で決められる」という状態に近づけるように助けてあげましょう。

自立支援は、一方的に教えたり押し付けたりするものではありません。利用者の方とコミュニケーションをとりながら、一緒に目標を設定し、適切な支援を提供することが大切です。

自立支援は、介護保険制度の基本的な考え方です。私たち介護従者は、利用者の方の自立の形を理解し、尊重し、支援することで、その方の人生の質(QOL)を高めることができます。自立支援は、利用者の方だけでなく、私たち自身にとってもやりがいや成長の機会になります。自立支援を通して、利用者の方と一緒に笑顔になれるように頑張りましょう。

 

おわりに

介護サービスの基本について、利用者の皆さまの生活の質向上と尊厳の保持に焦点を当ててご紹介しました。尊重される選択の重要性についても掘り下げ、自己の価値観や希望を尊重しながら、より良い介護の実現を目指すことの大切さをお伝えしました。また、自立支援の重要性もご紹介し、利用者の皆さまがより自身の力を活かして充実した日々を送る手助けになれば幸いです。
これからも、利用者の皆さまの笑顔と安心感を最優先に考えたサービス提供に努めてまいります。