認知症サポートの道

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在宅介護のメリットとデメリット:自分や家族の最善の選択を考える

在宅介護の魅力には、住み慣れた自宅での生活、介護費用の節約、必要なサービスの選択肢があります。しかし、一方で家族への負担や不測の事態への対応が課題です。この記事では、在宅介護のメリットとデメリットを徹底解説し、自分や家族にとって最適な選択を考える手助けをします。

在宅介護のメリット

在宅介護には、以下のようなメリットがあります。

  • 住み慣れた自宅で生活できる

在宅介護の一番のメリットは、やはり本人が環境を変えることなく、住み慣れた自宅で精神的な安定を持って介護が受けられることです。厚生労働省の委託調査(2016(平成28)年)によると、人生の最期を迎えたい場所について、「自宅」と回答した人は7割以上と最も多くなっています。自分らしくいられる場所で最期を迎えたいという思いは、多くの人が共感できるのではないでしょうか。

  • 介護費用を抑えることができる

在宅介護は施設介護に比べて、介護費用を安く抑えることができます。なぜなら、在宅介護では基本的な介護サービス費以外はかかりませんが、施設介護の場合は住居費や食費など、経済的な負担が増加します。厚生労働省によると、要介護5の場合の費用の一例は、在宅介護では約3万6千円、施設介護(特養)では約10万円となっています。このように、在宅介護は施設介護よりも費用を大きく抑えられます。

  • 必要な介護サービスを選択し、利用できる

在宅介護の場合は、必要なサービスのみを選択できるため、介護の自由度が高くなっています。また、不要なサービスを受ける必要がないため、先ほど紹介した費用面のメリットにもつながります。施設介護の場合、日常生活全般の介護サービスがパッケージ化されて提供されるイメージのため、こまかくサービスを選択できず費用も高くなります。介護を受ける本人にとって、本当に必要なサービスだけを無駄なく提供できるのは、在宅介護の大きな魅力でしょう。

在宅介護のデメリット

一方で、在宅介護にもデメリットがあります。主に以下のようなものです。

  • 家族の負担が大きい
    在宅介護では、家族が主体的に関わることになります。身体的にも精神的にも経済的にも、家族にとっては大きな負担となります。身体的には、食事や排泄、移動などの介助を行うことで、体力や筋力が消耗します。精神的には、自分の時間がなくなり、ストレスが溜まります。経済的には、介護サービスや介護用品の費用がかかります。また、仕事と介護の両立が難しくなり、収入が減る可能性もあります。
  • 不測の事態に対応できない
    在宅介護では、急な体調不良や転倒による怪我などが発生しても、専門職がいるわけではないため、すぐに適切な対応ができません。また食事中の窒息や、転倒による頭部出血など、命の危険がともなうケースでは、パニックになる可能性も考えられます。その点、施設介護では、常時専門職による見守りがされており、医師や看護師などがすぐに駆けつけられる体制が整っているため、不足の事態が起きても安心です。

まとめ

在宅介護は、自分の家で生活できるメリットがありますが、家族の負担や緊急時の対応などのデメリットもあります。在宅介護を続けるかどうかは、本人や家族の希望や状況によって異なります。自分にとって最善の選択をするためには、在宅介護と施設介護のメリットとデメリットをしっかり理解し、必要なサポートや制度を利用することが大切です。