認知症サポートの道

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認知症の早期発見と予防に役立つ【嗅覚機能検査】とは?

認知症の早期発見はなかなか難しいものです。なぜなら、認知症にはさまざまなタイプがあり、それぞれ原因や症状が異なるからです。代表的なタイプには、「アルツハイマー型」「血管性」「レビー小体型」「前頭側頭型」などがあります。

この中で最も多いのが「アルツハイマー型」で、全体の7割近くを占めています。このタイプは、脳内にアミロイドβという異常なたんぱく質がたまって、脳細胞が傷つけられることで起こります。このたんぱく質の蓄積は、認知症の症状が出る20年以上も前から始まっていると考えられています。しかし、この段階では日常生活にほとんど影響がありません。そのため、自分で気づくことも難しいのです。

では、自分がアルツハイマー認知症になりそうかどうかをチェックする方法はないのでしょうか。実は、嗅覚(においを感じる能力)に注目すると、手がかりが見つかるかもしれません。

鳥取大学医学部認知症予防学講座教授の浦上克哉さんは、「認知機能が低下するよりもっと前に嗅覚機能に異常が現れる」と言います。つまり、嗅覚機能障害を見つけることが、アルツハイマー認知症の早期発見につながる可能性があるということです。

そこで浦上さんは、「ニンテスト」という嗅覚機能検査キットを開発しました。これは、6種類の香りを嗅いで選択肢から答えていくテストで、そのスコアで認知機能レベルを判定することができます。個人では使えませんが、医療機関や薬局で利用できるようになれば、気軽に嗅覚チェックをすることができます。

嗅覚機能検査だけではなく、アロマセラピー認知症予防に役立つと浦上さんは言います。アロマセラピーは、香りを嗅いだり、マッサージしたりすることで、心身の健康を促進する方法です。香りには、リラックスしたり、集中力を高めたりする効果があります。また、香りは記憶と深く関係しているので、記憶力を向上させることも期待できます。

認知症の治療薬も進化しています。アルツハイマー認知症の新薬「レカネマブ」が米国で承認されました。この薬は、脳内のアミロイドβを除去することで、病気の進行を抑える効果があるとされています。日本でも近いうちに承認される可能性が高いです。

認知症は、恐れるだけではなく、知ることが大切です。早期発見や予防に役立つ情報を得ることで、自分の脳の健康を守ることができます。また、認知症になってしまった場合でも、治療や支援を受けながら、より良い生活を送ることができます。認知症に対する意識や理解を深めることも、「予防」の一つです。

私は、このニュースを知って、認知症に関する最新の知識や取り組みに興味を持ちました。嗅覚機能検査やアロマセラピーなど、身近な方法で認知症予防に努めたいと思いました。また、新薬の開発や普及にも期待しています。認知症は、自分だけではなく、家族や友人など身近な人にも関係する問題です。誰もが認知症について学び、理解し合える社会になればいいと思います。

 

 

 

: AERA 2023年8月7日号「認知症基本法」の5本柱はこちら : AERA 2023年8月7日号「血管性認知症」の対策にもっと注目すべきだと発表した : AERA 2023年8月7日号「アルツハイマー型は脳内にアミロイドβとよばれる異常なたんぱくが蓄積されることで脳内の細胞がダメージを受け、認知障害が現れる」 : AERA 2023年8月7日号「浦上克哉さん」 : AERA 2023年8月7日号「ニンテスト」 : AERA 2023年8月7日号「数年前にアロマセラピー認知症予防の関連を発表し、ブームを作った仕掛け人でもある」 : AERA 2023年8月7日号「レカネマブ」