地域の支え手【民生委員】について知ろう!
地域社会を支える重要な存在である「民生委員」について、その役割や活動内容、選出方法などについてご紹介します。地域の人々の身近な相談相手として、どのような活動を行っているのか、ぜひ知っていただきたいと思います。
- 1|【民生委員】とは
- 2|どんな人が【民生委員】になるのか?
- 3|どのような活動をしているのか?
- 4|相談したいときはどうすればいいのか?
- 5|5月12日は「民生委員の日」!
- 6|民生委員制度の歴史
- 7|民生委員のマーク
- 終わりに
1|【民生委員】とは
2|どんな人が【民生委員】になるのか?
2-1|民生委員になるための条件
民生委員になるには、以下の年齢を満たす必要があります。
- 新任の場合65歳未満であること。
- 再任の場合75歳未満であること。
さらにこのような条件があります。
- 社会的に尊敬され、社会奉仕の精神に溢れ、人間性に優れた人
- 生活経験が豊富で常識があり、人権問題を理解し、個人の尊重と秘密保持能力がある人
- 市の議員選挙権を持ち、住んでいる地域の実情を知り、地域の協力を受けられる人
- 地域の人々が気軽に相談できる人
- 福祉・保健・医療に理解があり、困っている人々や特定のグループ(児童、母子・父子、高齢者、障がい者など)の問題に積極的に関わる人
- 安定した生活を送り、責任感が強く、地域福祉に関する研修や行事に積極的に参加し、実行できる人
では民生委員に不適格な人はどんな人でしょう?以下のように定められています。
- 本来の業務が多忙で、または病弱なために、民生委員・児童委員職務を果たすことが難しい人
- 非行を犯したことで、民生委員・児童委員としてふさわしくない人
- 暴力団関係者で、暴力団員や関係者として認められる人
- 自分の政治的な目的や特定の団体のために、民生委員・児童委員の立場や活動を利用したり、利用する可能性がある人
- 実際にその地域に住んでいない人
民生委員に再任されるには以下の注意点があります。
- 低所得者への支援活動の実績を把握すること(世帯票など)
- 高齢者や母子・父子世帯の支援実績を把握すること
- 児童委員としての活動実績を考慮(児童健全育成活動など)
- 報告の提出状況を確認(活動記録など)
- 関連会議や研修への出席状況
- 相談活動への参加状況
- 保健福祉センターなどへの協力状況
- 共同募金や行事への参加協力の状況
- 在宅支援のネットワーク構築や協力状況
- ボランティア活動振興の活動状況
また、以下の事項にも特に留意が必要です。
- 活発な活動が期待できる若年層委員の選出が望ましい(地域福祉の向上のため)
- 議員との兼職は望ましくない(政治活動との区別が難しいため)
- 国家・地方公務員との兼職は避けること(特殊な場合は影響のない者を選出し、任命権者の承諾書と理由書を提出することが必要)
民生委員には各区域で定数があります。
大阪市を例にしますと、市の定数は世帯の数に応じて1人以上の民生委員・児童委員を配置することを基本としており、世帯が220以上から440以下の範囲で1人の委員を置くことを目指しています。ただし、地域の状況に応じて調整されます。令和4年12月1日現在の市内の民生委員・児童委員の定数は4,210人(うち主任児童委員は635人)です。
2-2|民生委員になるまでの流れ
民生委員になるまでの流れを大阪市を例に見てみましょう。以下のようになります。
- 地区準備会: 地域ごとの小学校単位で構成された地区準備会があります。ここで市議会議員の選挙権があり、地域の状況を理解し、社会福祉の向上に熱心な候補者を選び、次の段階への推薦候補者を決めます。
- 区民生委員推薦会: 地区準備会から推薦された候補者の中から、民生委員に適任な人材を選び、市民生委員推薦会に推薦します。
- 市民生委員推薦会: 区民生委員推薦会が選んだ候補者について審議を行い、市長に推薦する候補者を決定します。
- 市長: 市民生委員推薦会から推薦された候補者について、必要に応じて専門の審査分科会の意見を取り入れながら、厚生労働大臣に対して推薦を行います。
- 厚生労働大臣: 市長からの推薦を受けた候補者に対し、民生委員や児童委員の委嘱、主任児童委員の指名などを行います。
- 民生委員・児童委員及び主任児童委員: 最終的に、厚生労働大臣によって指名・委嘱された人々が、民生委員や児童委員として活動します。
一斉改選と欠員補充
- 一斉改選: 民生委員・児童委員および主任児童委員の任期は3年ごとに改選されます。すべての人々が新たな候補者として選ばれることになります。
- 欠員補充: 任期中に欠員が生じるか、3年の任期中に何らかの事情で役職が空席となった場合、その地域の役職を埋めるために、年3回(4月、8月、12月)に委嘱が行われます。これにより前任者の在任期間内で新たな人が選ばれます。
3|どのような活動をしているのか?
民生委員や児童委員は、特定の地域に住む人々の相談相手として活動しています。彼らは地域住民からのさまざまな問題や困りごとに耳を傾け、例えば生活の悩みや医療・介護、子育てに関する相談に応じます。その際、問題が解決できるように、行政や関連機関などへの支援を手配する役割も果たします。また、地域の監視役として、高齢者や障がい者の家庭、子供たちを見守る活動も行っています。
民生委員の役割は、主に以下の3つに分けられます。
- 相談業務:地域住民からの社会福祉に関する相談に応じます。例えば、生活困窮者や障害者、児童虐待や家庭内暴力などの問題を抱える人からの相談です。民生委員は、適切な機関や専門家につなげたり、必要な手続きや制度を説明したりします。
- 訪問業務:地域内の一人暮らし高齢者や障害者、児童や母子家庭などの状況を把握するために定期的に訪問します。安否確認や様子伺いだけでなく、気持ちを聞いたり、孤立感や不安感を和らげたりします。また、必要に応じて支援サービスや福祉施設の紹介もします。
- 協力業務:地域の社会福祉活動に協力します。例えば、ボランティア団体や福祉施設と連携したり、地域住民の交流や自助活動を促進したりします。また、市町村や区の社会福祉計画や事業に意見や提案をしたり、実施状況を評価したりします。
彼らの目標は、地域の人々が安心して生活できるようにすることです。そのために、地域住民の問題を解決するために行政や関連機関と協力し、必要なサービスの提供や情報提供などの役割を果たしています。
民生委員や児童委員は、相談内容を秘密に守る法律的な義務を持っています。した相談内容は他の人に漏れることはありませんので、安心して相談できる環境を提供しています。
4|相談したいときはどうすればいいのか?
5|5月12日は「民生委員の日」!
毎年5月12日は「民生委員・児童委員の日」と定められており、この日から1週間(5月12日~18日)は「活動強化週間」となっています。この期間中には、民生委員・児童委員の存在や活動について広く知ってもらうために、さまざまなPR活動が行われます。
6|民生委員制度の歴史
民生委員制度の始まりは、1917年に岡山県で始まった「済世顧問制度」です。この制度は、貧困や病気などで困っている人々を支援するために、地域の有力者や知識人が任命されたものでした。
1918年には、大阪府で「方面委員制度」が発足しました。この制度は、済世顧問制度と同じく、生活困窮者の支援を目的としていましたが、方面委員は地域の住民から選出されることが特徴でした。
1928年には、方面委員制度が全国に普及しました。この時期には、大正デモクラシーと呼ばれる社会運動が盛んになり、民主主義や社会正義の理念が広まりました。方面委員は、地域の福祉を向上させるために、さまざまな活動を行いました。
1946年には、戦後の混乱期にあって、方面委員制度は民生委員令によって法的な根拠を得ました。この令によって、方面委員の名称が「民生委員」に改められました。また、民生委員の任務や権限も明確化されました。
1946年以降も、民生委員は時代の変化に応じて新たな活動に取り組みました。例えば、高齢者や障害者の福祉サービスの提供や調整、児童虐待や家庭内暴力の防止や対策、地域コミュニティの形成や活性化などです。
2017年には、民生委員制度創設100周年記念全国民生委員児童委員大会が開催されました。この大会では、天皇皇后両陛下がご臨席され、民生委員や児童委員の功績や貢献が讃えられました。
7|民生委員のマーク
民生委員・児童委員のマークは、地域の福祉を担うボランティアである民生委員・児童委員の活動を象徴するものです。
このマークは、1960年に全国民生委員児童委員連合会が公募したデザインコンテストで選ばれたもので、以下のような意味が込められています。
四つ葉のクローバーは、幸せのめばえを表し、地域住民の幸せを願う心を示しています。
「み」の文字は、民生委員を表し、地域住民の立場に立って相談や支援を行うことを示しています。
双葉は、児童委員を表し、子どもたちの健やかな成長と子育て支援を行うことを示しています。
鳩は、平和のシンボルであり、愛情と奉仕の精神を表しています。
このように、民生委員・児童委員のマークは、彼らの活動理念や目的を表現したものです。
このマークは、民生委員・児童委員が活動する際に使用されるほか、ポスターやパンフレットなどにも掲載されています。
こちらの印は民生委員・児童委員の自宅玄関や門に目印として貼られています。
こちらは民生委員・児童委員が活動の際、胸元に着用しています。
終わりに
【民生委員制度】の魅力をご紹介しました。皆さんは、この制度を通じて地域の発展に貢献する民生委員のかつどうに興味は持っていただけたでしょうか?地域の架け橋として、日々の活動を通じて多くの方々の力になっている姿は、見習うべきものがあります。
もしご自身や身近な方が支援や相談を必要とする場面に出会った際には、ぜひこの制度を活用してみてください。民生委員たちは、あなたの声に耳を傾け、お手伝いをしてくれることでしょう。
「民生委員の日」である5月12日は、その存在を讃え、感謝の意を示す大切な日でもあります。制度の歴史や成果を振り返りながら、これからもますますの発展を願っています。
最後に、あなたの地域における民生委員の活動が、共に築く社会の大きな一部となることを願いつつ、この記事を締めくくりたいと思います。どうぞ、ご自身の身近な場所から社会への貢献を考えるきっかけとなれば幸いです。